テーマ「夢」眠れる森の

目覚めたら世界がパチンと消えるよ。

そう言われては眠り続けるほかにない。

世界というのは誰かの夢で、その誰かに私が選ばれたのだとあの日の魔女が教えてくれた。

つまり、あの日の出来事は事件でもなんでもなかったのだ。

私が眠り続けることを必然にするためのプロセス。

父も母も知っていたどころか首謀者だろう。なにしろこの国を統べる王なのだから。

悲しみを、憎しみを、諦めを、思慕を。思いを糧に私は眠る。

夢見ることでやむを得ず紡ぐ未来。


あれから幾年。夢の噂で聞いた。

別の世界のものたちがこの世界を滅ぼそうと刺客を差し向けたらしい。

迫る唇。

構わないわ。夢見ることにも疲れ果てた。

ねえ、王子様。世界を滅ぼす目覚めのキスを。

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