持ち物

もうすぐ、日付が変わる。


雨音が雑音を退ける中、私は彼の前ではにかんでみせる。


そんな私を見て彼は優しくキスをしてくれた。

私はお返しに彼を求める。

そして彼は応えてくれた。


私は彼の前で恥じらいを見せる。

彼はとても楽しそうだ。

私はそれがとても可笑しかった。

だって彼は知らなかった。


雨音が私のあざとさを紛らわしていたなんて事。


五月雨の降る夜、私と彼は天国へと行った。

偽りの天国だったんだけどね。


もうすぐ、世界が動き出す。


朝日が変化を促す中、私は彼に甘えてみせる。


そんな私に対して彼は優しく語りかけてくれた。

私はお返しに彼を求める。

そして彼は応えてくれた。


私は彼にねだってみせる。

彼はとても嬉しそうだ。

私はそれがとても愛おしかった。

だって彼は知らなかった。


朝日が私のしたたかさを覆い隠していたなんて事。


五月雨が止んだ朝、私と彼は天国へと行った。

偽りの天国だったんだけどね。

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