何事も無かった

販売人と別れた後、ずっと歩いたが夜になるまで何もイベントがなかった。


そして街に着かない。


「すっかり夜になったな…。」

「そうね…。野宿の準備でもしましょうか。」


え!?まじで?


「ここで寝るの?」

「当たり前でしょ?寝る準備と見張りの2時間交代でね。」


うわぁ…でもそうだよな。

魔物とか来たときに二人寝てたらそのまま死んでしまうからな…。


「分かった。じゃあ2時間ずつで。どっちからするの?」

「ウルマからできる?」


いきなり自分か。

「分かった。それで2時間とか計るものってあるのか?」

時計とかないと2時間って分からないし。


「そんなのないわよ。自分の中の時計で大体わかるでしょ?」

まさかの体内時計ですか。


「まじか…。頑張るよ。」

「明かり用の火はここにつけておくから魔物とか誰かが近づいてきたら起こしてね。」

トーカはそう言うと薄い布を2枚出してスースーと寝始めた。


「寝るの早いな…。」


さて、こういうときどうしたらいいんだろうか。

異性と2人きり。


トーカの寝姿がホントに小学生のようなスタイルだし、寝顔が特にやばい。

下手したら魔物じゃなくて自分が襲いそうになるぐらいだわ。


…まぁそんな邪念は捨てて、見張りに集中しよう…。


…。


はっ!トーカの顔を見てドウスルンダ。


…にしてもこののんびりできる時間って良いなぁ。


前の世界とは違って生きるのに命がけになれるし。

って命がけならのんびりできないじゃないか。


でもまぁ、この寝顔が見れて満足。


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そして2時間は越えたと思うけど…、

凄いいい夢を見てるのか、トーカは凄い良い笑顔で寝ている。


これを起こせる人は居るのだろうか。


この場には居ない。


仕方ない。この寝顔を見ながらもうちょっと見張りするか…。



…ツンツン…プニッ。


凄い柔らかいっほっぺだなぁ…。


…。



ハァ~…かわいい寝顔だなぁ…。


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「おはよう…。あれ?朝?ウルマ、なんで私を起こさなかったの?」


「いや…寝顔がかわいかったから…。」

「え?え、えっと…その…ありがとう。」


うあぁ。後ろから後光が差して笑顔がまぶしい。


「それで?何も無かったの?」




「うん。何事も無かったよ。」

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