いざ、冒険へ

昨日はよく寝たなぁ~。あの後服がボロボロになっていて凄く焦ったが、

トーカが持っていたという換えの服を夜のうちに卸してくれた。


トーカさんホントに準備の良すぎませんか?

…この件はあまり深く考えないほうがいいのかもしれないな。


「さてと、今日は適度に涼しく良い快晴だな。」

さぁ、こういう日こそ、旅に出るにはもってこいなんだろうな。


「じゃあそろそろ出掛けますか。」

そうだな。


「…行くにしてもどの方向へ行くんだ?」

「そうね…、ウルマは観光と狩りどっちを優先したい?」


観光と狩り?そんなの…

「もちろん、観光だね!」

「ん~そっか。それならちょっと遠いけどウトエスが良さそうね。」


ウトエス?

「何か有名な観光スポットみたいなのがあるの?」

「ウトエスには美味しい食べ物が毎日たくさん安く売り出されているらしいのよ。」

ほぉ、食べ物か。


「例えば何があるとかって分かる?」

「えっと…例えば、噛むたび溢れてくる肉汁とそれをうまく受け止めつつ美味しさをさらに増す、肉と野菜等をふわふわとしたパンで挟んであるパンとかね!」



ほぉ…それは楽しみ。

「じゃあさっそく行こう!食べ物…いや、観光するために!」

トーカにクスクスと笑われたが、それはどうでもいい。

今ははやくその町に行きたい。


「じゃあその町へ行くためにも頑張って歩かないとね!」

「だな!」


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というわけで、都市を出てきてから少したったわけだが。

「凄いうっそうとした森だな。」


「えぇ。だって都市から続く道一本以外は普通、ほとんど森なんだから。」

そうなのか…。


しばらく道を進むと次第に風景が暗くなっていく。

「なんか夜みたいに暗くなって来たな。」

「そうだね…」


なんかこういうとき自分が会話下手って実感させられるなぁ…。


そしてほぼ何もしゃべらないまま1時間ぐらいたったころ。


向こうからゆったりと一台の馬車がやってきた。


そして自分たちの少し前方に止まると人が降りてきた。

「すいません!中央都市ってこの道のほうであってますか?」


話しかけてきたのはまだ幼さが残る推定20歳ぐらいの少年だった。

「はい。この道をまっすぐに行けば1時間ぐらいもあれば着けると思いますよ。」


「ありがとうございます!あ、あの…よかったらこれ、買ってくれませんか?」

「えっと…これは?」

見せてきたのは少し透明がかった薄い板。


「これは自分の店でよく売っていた、物を鑑定できる板です。」


「この鑑定板を街で売っていたんですけど、新しくできたすごく安い店に客を全て持ってかれてしまったのですよ。なので新しい街に行って新規一転をするつもりだったんですけど開店資金を除いたら生活するお金が無いことに旅の途中で気がついたのです。なので道すがら売って食をつないでいるんです。」

オォ…それはなんともな話を…。


でもまぁ鑑定できるって言うのは良さそうだし買ってみようかな。

「ちなみにいくらだ?」


「銀貨8枚です。」


あ。新しい硬貨が…。


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