涙をなくした少女
@penntomino121
泣くと記憶をなくしてしまう少女
第1話 泣き虫で幸福な頭を持った少女のお話
少女Aは昔から泣き虫であった。
泣き虫だけならまだしも、少女Aは困った「頭」の持ち主だった。
たとえばこうだ。
誰かにいじめられて、その事に対して泣くと泣いた後、
【自分が何故泣いていたのか】が分からなくなるという。
泣いた対象の出来事、人物の事を忘れてしまう。
だからこの場合は、自分がいじめられた、誰にいじめられたという事実を忘れてしまっているのである。
ある意味、幸福な「頭」である。
しかし、覚えていない事が本当に幸せな事なのかと問われればそうではないのだろう。
だが、それも一つの防衛なのだと納得せざるを得ない。
少女Aもそう思っていた。
【自己防衛術】
泣くと記憶が消える
嫌な事があったら泣いてしまう泣き虫
つまり嫌な記憶だけが消える=幸せ
少女Aが本当に幸せと感じていたのかは今となっては定かではないが。
少なくともあの事故が起こるまでは。
今まで通り、泣き虫で
今まで通り、泣いて
今まで通り、忘れてしまう
そんな少女だったという。
だがしかし、今は昔。
少女は泣かなくなったらしい。
上記にも記した通り、ある事故をきっかけに泣かなくなってしまったらしい。
理由は単純、
「忘れてしまう」から
少女Aは大切な人の記憶を失いたくはなかった。
嫌な記憶ではあった。
『目の前』で『自分のせい』で『大切な人』が『死』んでしまうのだから。
その日、少女は「涙」を流さなかったらしい。
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