第7話 外部サイトでの宣伝について 2/2

3.作品が有名になる事は小説サイトや出版社の利益になる


 ここは少し内容が濃くなりますが、最近は『webサイト上で有名になった作品の書籍化』が続いています。この理由については、『まったく無名の作品を1から編集して売るよりも、既に有名になっている作品を書籍化する方がずっと楽に売れる』からです。


 どうして有名になった作品の方が楽に売れるのかといえば、いかに面白い作品であっても人の目に触れなければ『存在しない』ようなものなのです。

 もし、出版社が1から編集して作品を売る場合


『作家の確保→度重なる会議による企画の通過→イラストレーターの確保→文章や絵のブラッシュアップ→本の完成→様々な形で宣伝』


 などという大変な段階があります(これでもかなり省略しています)。

 帯(宣伝文句)作りや書店への営業、企業同士や人間同士の関係調整まで考えると、物凄く大変な世界である事が想像できるでしょう。しかも、それだけやって全く売れない可能性だってあるのです。いやむしろ、そっちの方が多いでしょう。


 しかし、これが既にweb上で有名になった作品であれば、最もお金と労力がかかる『宣伝』が大きく進んでいるので、出版社としては『コスト削減』と『販売予測』を両立させやすいのです。ビジネスライクに考えると凄く合理的でしょう。


 そして皆さんご存知の通り、カクヨムは角川系列の複数のレーベルが協力しています。上記説明を読めば、カクヨムや各レーベルの意図は大体想像できますよね?


 端的に言えばこのビジネスモデルは『既に作品が獲得している人気を換金する』という事になります。こう言ってしまうと、まるで私が上記ビジネスモデルに否定的であるかのように聞こえるかもしれませんが、そういう意図はございません。


 何故なら『価値が曖昧なまま埋もれているものを発掘し、商品化してお金を得る』というのは、極々伝統的な経済活動だからです。


 売り出された商品が世の中に出回り、商品を作った人や流通させた人が対価を得る。この流れが双方合意であるならばwinwinと言えるでしょう。




 さて、長々と説明してきましたが、このような理由から外部サイトでの宣伝は現在グレーではなく、ほぼ『白』と予想されます。もし違うなら、既に運営さんがアナウンスを出していることでしょう。


 こういう話を聞くと、多くの方が少しもやっとするかもしれません。

 書いている私もうぅん……てなる事があります。


 『結局宣伝しまくった奴が有利なのかよ!』とか

 『上手い作家こそが評価されるべきだ!』とか

 『宣伝はそもそも出版社の仕事だろ!』とか

 『このままじゃ業界が萎んでしまうわ!』とか

 ……色々な意見がある事でしょう。


 でも出版業界も、ネットの誕生以降どう対応すべきか混乱しているんですよね。経営側から収益向上を迫られているレーベルを責める訳にもいきませんし、経営者もまた株主から収益向上を常々迫られている……。株主は会社の所有者……。でも株主は一人ではない……。

 この辺はもはや資本主義経済論の領域です。


 カクヨム運営さんもきっと、ランキングをトップページに置いてしまうと作品への注目格差が拡大するなぁとか、でもランキング置かないと読者が不便するしなぁとか……きっと悩んでいる事でしょう。


 みんなみんな悩んでいるんです。


 何かいいアイデアがあれば、積極的に発信していけば良いでしょう。

 アイデアを生んだり、シナリオを書くのは作家の腕次第ですから。


 最後に、全部をひっくり返すような事を言ってしまいますが、どんなに宣伝してもその辺の石ころ1つ2つに人気が集中するはずもありません。作家さんはまず宝石のような作品を生み出す事から始めましょう(自戒含む)。


 それでは機会あればまた後日。 ノシ

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