アナと雪の女王
2014年年末にAmazonインスタントビデオストアで見て、あまりにも面白かったので最終的に字幕版と吹き替え版の両方をiTunes Storeで買った作品。
初見時の感想は「これは凄いwww」に尽きました。何処から手を付けて良いか分かんなくなるぐらいに解釈どこ満載。百人いたら百人が百様の熱弁をふるいそうな、凄まじく解釈欲を刺激する物語。主人公姉妹の関係性、その精神分析学的原風景は何なの?とか、姉の、寒冷を操る異能を抱えて他者を傷付けぬ為に人里離れた山奥にこもる姿って、その余りにも露骨な寓意は一体何www?とか、異能から自由な妹の、暴力的なまでの屈託の無さは一体何なの?、とか(これについては、最後まで見たらある程度、ストーリー展開上の必然であるのがわかりましたが。妹が無屈託なおバカちゃんであればこそのあのストーリー展開なのよね)、夏にあこがれるオラフって、とか、二十一世紀に入ってから十年以上経ってるこのタイミングで、愛の力で心に刺さった氷が溶けるとかって、それ、360度を何百回転したつもりなんだwwwとか、もう、もう、腹筋ならぬ解釈筋が崩壊しそうな凄まじい満腹感でした。
余りにも受けてしまったので、字幕・吹き替え双方で計50回以上繰り返して見ちゃいました。
で、以下は繰り返し見てからの諸々の追記です。
追記1
異能者の孤独っていうモチーフつながりで久し振りに宮部みゆきの「龍は眠る」のことを思い出しました。超能力者の孤独っていう、本来ならば共感できるところゼロのはずの世界が、ものすごい切実感で迫ってくるのが印象的な作品でした。あれはなんか、変わった読書体験だったなぁ。
追記2
この映画、同性愛観点からの解釈も流布してますよね。確かにこの映画、そゆこと言ってみたくなりがちですよね~。だって、ディテールまでいちいち如何にも露骨に意味ありげだしWWW
追記3
後日、ブログみて回ってたら、エルサの姿に発達障害の娘さんの姿を重ねる親御さんの読みが書かれてまして、これがなかなか泣けました。。。ちなみに、「あの場面のあのれりごー、本当の意味でのれりごーに全然なってないよね?」説があるみたいですが、そこはどう考えても真っ正面からの演出意図でしょう。あの擬似れりごーがあるからこそエンドロールの真れりごーが高らかに鳴り響くんじゃないですか(笑)。アナの方のハンス/クリストフと同構造の二段落ちよね?。エンドロールにかぶるエンディングテーマが完全に作品世界の一部になってるパターン。犬童一心の「金髪の草原」みたく。提示された主題が長く重苦しい展開部を経て高らかに戻ってくるところは、音楽形式に於いても王道的な見せ場の一つでしょ。あれですよ、あれ。
追記4
「アナの人物造形」でググると、人物造形の陳腐さの点でノれていない人が結構多いのに気付きました。人物を記号やブロック片として、その組み合わせをパズル的に楽しむフィクション受容の仕方を楽しめるかどうかでそこは分岐するだろうと思いました。私はノリノリで楽しめたクチですけども、それは私がプライベートな人間関係を一切持たず、ある種、人間関係を記号的なフィクションとしてしか見ない立場にいることと強い関係があるでしょう。例えば、伝統的なリアリズム文学享受のような態度であたった時、確かにあの世界を面白がるのは相当に難しいかもしれません。逆に、人の心の動きを記号の遊戯的に見る私には、姉を守ろうとして身を投げ出した結果凍結してしまった妹の、冷えきった体を抱きしめる、姉の胸を占める悲嘆、っていう陳腐な記号的情動に、ものすごくスムーズに感情移入出来て感涙を浮かべることすら可能だったんですけども。その辺は、様式化された情動表現に感情移入するのになれてるかどうかでしょうね。漫画の汗マークから登場人物の焦りを上手いこと自分の心の中で、インスタントコーヒーお湯に溶くみたく、フリーズドライからホットドリンクに戻す操作に慣れてるかどうかってことだと思います。
そういう意味で言うと、普通の意味でのリアリズム的自然さの点では勿論のこと、記号的ステロタイプという意味合いですら、やや唐突で不条理な印象を与え収まりの悪かったハンスの人物造形が、現代的不条理感の一点において逆説的に一番リアリズムだったのかもしれませんね。
追記5
そう言えば、字幕スーパー版見たら、二カ所、私にも分かるダジャレがありました。One, two, treeてのと、Wait a minuteって言われた雪だるまが途端に60秒数え出すとこwww馬鹿ですね~。さすがアメリカ映画だわと思いました。
追記6
アナのハリボテ風頭でっかち感にどうもデジャブを感じると初見時に思ってたのですが、後から思い至りました。ミクだよーを微妙に連想させるのです。
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