絶望のサバイバル(2)


   19


 暗い暗い洞窟の中の、その奥。彼女らはそこにいた。

 出席番号7番、大沢おおさわ優輝ゆうき。出席番号9番、忍足おしたり有実子ゆみこ。出席番号12番、恩田瑠可。出席番号14番、葛西真亜矢。

 彼女ら四人は暗く冷たい洞窟で震えていた。 恐怖と洞窟の冷たさが体に沁みる。

 陽が当たらないせいか、洞窟の中の温度は若干だが低くなっていた。しかし震えるほど寒くはならないはずであった。

 それなのに彼女達は、凍える寸前まで衰弱しているように見えてしまう。

 自分達の中の恐怖心のためなのか、それともここの温度が異常なのか。まあとにかく、彼女達は精神的に追い詰められていたという事だ。

「怖いよ……化け物なんかに食べられたくないよっ……!」恩田が小さな悲鳴をもらす。

「あ……ううっ……誰か助けて……黒神……君っ…………、海……堂……っ君っ……!」 それに刺激され忍足も激しく泣きじゃくりだす。

「寒い……よ……眠た……いよ……」大沢が衰弱しきった表情でゴツゴツした床にへたりこむ。

「ちょっと大丈夫ユキ!?」葛西が慌てて大沢の体を揺らす。

「大丈夫……たぶん……」大沢が目を開け、かすかに笑った。

「どうするの?洞窟、出る?」

「……それは、やだ。バケモノに……会いたくないもん……死んでもここから出たくない……よぉ……」

 彼女達は冷たく何もない洞窟の中で、路傍に捨てられ、力なく啼いている猫のように蹲っていた。

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