鬼の花嫁

青い月

第1話 桜舞うとき

「ふあぁぁ・・・・・・」


大きなあくびをしながらフラフラと歩く桜並木のこの路地。


春というのに、まだまだ肌寒く私はストールを羽織歩くといきなり突風が吹き荒れた。


ビュー!!


私の目の前は桜吹雪で綺麗な光景が広がる・・・・・・・・・


「綺麗・・・・・・・・・」


すると美しいと言った方がいいのか・・・

着物姿のそれもシルバーグレイの髪の男性!!


(それもイケメン!!)


桜吹雪の中から現れた。


私は桜吹雪よりその男性に見惚れる


すれ違いざまに私の耳元に囁くのだった。


「そなたは美しいな・・・・・・・・・」


「えっ!?」


私は振り返るとその男性の姿はなく・・・・・・・・


(しっ、しまった・・・・・・・・)


少し油断をすると幽霊というものを見たり妖怪などなど見てしまう私


「でも、今のは美しい男性だった。」


妖怪だったのか?

神様だったのか?

木の精霊だったのか?

私にはわからなかったが散歩を楽しむのだった


私は両親が不慮の事故で亡くなってからおばあちゃんの家で暮らしていた

おばあちゃんの家はかなり古い旧家だったが私はこの家が好き


桜の並木道を歩いている内に私は一軒の古い雑貨屋に気付き、誘われるように入ると耳元で声がした


「鼈甲の簪が綺麗だ、君によく似合うぞ。」


「!?」


私は振り向くが誰も居なかった


するとそこの亭主が出てきて言うのだった



「これが良いのかい?」


「えっ?」


「もう、店じまいするんだけどこの簪だけ残ってしまってね~」


確かに鼈甲の簪だけがポツンと置かれていた


「いくらですか?」


「えっ?あんたの連れの人が払っていったよ」


「連れ?」


「ああ、一緒にシルバーグレーの髪の男性が入って来たよ。」


亭主は綺麗な和紙に簪を入れ私に渡すのだった


「ありがとう・・・・・・・・・・?」


私は周りを見渡すが誰も居ないのである。


「誰か付いて来ていたの?」

(シルバーグレーの髪の男性?

先程あったあの桜吹雪の男性・・・)


思いつつも簪を持ち帰るのだった


「おかえり姫羅」


「おばあちゃん、今日ね簪を私に買ってくれた人がいたのだけど・・・・・・」


「どうしたんだい?」


「誰だかわからないの?」


「そうかい・・・・・・姫羅は可愛いからね~恥ずかしくて隠れてんだよ」


「でも・・・・・・・・」


「いいじゃないかい、好意は受け取っても悪いことではないよ」


「うん・・・・・・・・・」


おばあちゃんは部屋に戻るのだった


私も部屋に戻り鼈甲の簪を眺め思う。


「いきなり貰ってもな〜

彼氏知るんですけど・・・・・・・・・」


包みを開け取り敢えず髪に挿してみる。


確かに綺麗だけど着物着ないと少し地味に見える。


「一体誰なんだろ〜?」


私もその日は早く眠るのだった。




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