バットレンジャー

幻典 尋貴

闇夜に咲く花

プロローグ

【モンスターの春】

 ブラクスと言う街に住んでいる母からは毎月、仕送りと共にブラクスの月刊誌が送られてくる。名前は“ブラクスタイムス”。よくあるような名前だ。

 編集は私と同じ会社がやっているのだが、私は違う地域の部署なので読む機会は母の仕送りでしか、無い。

 7月に発行されたそれには、こんな特集が組まれていた。

『ブラクスの死期』

 その特集はこんな内容だった。

 「今日、三百日ぶりに春が来た。

 このブラクスという町は、地球テラの自転の影響で百日ごとに季節が変わる。これがいい事なのか悪い事なのかは私には分からない。

 そして、同じく自転の影響で、夜が他の場所より早く来る。これは、悪い事だとこの街の誰もが知っている。何故か、それは地球ここでは最近、暗闇に生まれるモンスター、『ガルス』が出現するようになったからだ。ガルスは人間の不のエネルギーから生まれ、私たち人間を襲う。最初は、大人数での犯行グループの殺人事件とニュース等で報道されていた。が、その姿を見た人や、研究者がそいつを発見し、モンスターの影響だと分かり、その研究者「バーバラ・ガルス」から名前を取られ、みんなはガルスと呼ぶようになった。」

 私はガルスには出会った事は無いが、存在は知っている。

 中学の時だ。ガルスは不のエネルギーが小さければ、犠牲は少なくてすむが、あの時は違った。あまりに大きすぎる不のエネルギーは私の大切な人を奪ったのだった。

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