No.79【幸福論】

少女「私、ときどきすっごく疑問に思うんです」


男「……何をだ?」


少女「人間ってすっごくちっぽけなことで気分が浮いたり、沈んだり。大変だなぁって。しかもそれらはどれだけ浮かれようがへこもうが時間を経るとちっぽけになっていきます。それってなんだか寂しいなぁって」


男「まぁ時間は一番の特効薬っていうもんなぁ。ただ、時間がかき消すのは毒だけじゃなく飴ももろとも消していく、というのが辛辣なのかもしれない」


少女「楽しい時間は薬じゃなくて飴ですか」


男「薬を好む人は少ないけど飴を好む人はありふれてるだろう?」


少女「言い得て妙です」


男「まぁ、一番はそんなことごちゃごちゃ考えてないでなんとなーく楽しんだりなんとなーく悲しんだりしつつ時間に消し去られていくことなんだろうけどな。深く考えると大抵のことはネガティブになるというのが俺の持論だ」


少女「七夕、ハロウィン、夏祭り……何よりクリスマスですかね。そういう一年中に散りばめられたトリガーで世界中の人が幸せになれたらきっと素敵なことなのでしょうね」


男「……あぁ、幸せというのはそういう節目節目の更新作業が大切なのかもな」

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