No.61~70

No.61【視点】

少女「ここには伝説の剣や謎の化け物のような、おとぎ話の中から出てきたような"非日常"がありふれていますが、私は飴の降る景色のような、自分で作ることができる……"自分から歩み寄ることで生まれる非日常"の方が好きかもしれません。如何せん、ここにある非日常は用意されたものばかりですから」


男「ふむ。しかし"自分で生み出す非日常"というのは、それこそ集団で騒いでるような人間の目指すところなんじゃないのか?」


少女「ふふふっ。確かにそうかもしれません。でも毎日騒いでばかりいると、騒いでいるのが日常になってしまいます。非日常というものも自分の立っているところで。……自分の見えているものでずれていくものですよ」


男「ふぅーむ。突き詰めてしまえばどんなものも非日常から日常に落とされてゆくのかもなぁ」


少女「確かに、そうかもしれません。人生はそういう行為の繰り返しなのでしょう。子供からしたらこの世界は驚きに満ちあふれていそうです」


男「そう考えると、一歩踏み出せば非日常がそこらに広がっているんだから、俺達が見ている世界よりずっと面白そうに写っていそうだな」


少女「私は非日常を求めてはいますが、今抱えている日常も好きですよ?」


男「……はたして今の俺達が抱えているのは本当に"日常"なのかね」

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