No.44【ふたりぼっち】
ザァァァアアアア…………
少女「私ね、友達少ないんです」
男「そうか」
少女「学校行事……いえ、普段の学生生活もそうかもしれません。周りの人たちはいつだって。ときには授業中にだってどんちゃん騒ぎで楽しそうにしていますが、私はどこか冷静にそれを見てしまっていて。距離感を感じてしまうんです」
男「……そうか」
少女「私と同じような人は同じようなことを言いながら"自分の感性は他の人とは違うのだろう"と言っていました。でも私それは違うと思うんです。……いえ、違うと知っているのです」
男「……知ってる?」
少女「えぇ、多分みんなやっていいことや悪いことなんてわかりきっているけれど、そんなモラルよりも、その一瞬一瞬を飾り付けることに一生懸命に生きているんだと思うんです。それってきっとひとつの正しい行為です。モラルに反していたって、正論じゃなくたって。正しさというものはいつだって誰かを味方します」
男「まぁモラルの観点から見たら冷めて見てる側の方が他人に迷惑をかけるわけでもないだろうし正しさはあるだろうけど……簡単な話じゃないよなぁ」
少女「男さんは私の話を否定しないんですね。この話だって十分正論からは逸脱していますよ」
男「九理に反していようと一理あればそれは十分芯の通った考えだと思うよ、俺は」
少女「なるほど、九理に反して一理の通った素敵な考えです」
男「それはどうも」
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