路地裏のクロスマリカ -探偵と少女と運命の人-
泉 鳴巳
序
俺の名は
俺はこの中途半端な都会の片隅で探偵事務所をやっている。
場所は、表通りから路地裏に入り、ゴミとドブの臭いをくぐりながら二つ三つ角を曲がった先。昼間でもじめじめとしたステキな立地だぜ。名前は「クロス探偵社」。俺の苗字「黒須」から取ったんだ。イカしてるだろ?
在籍している職員は、所長・俺、営業・俺、事務・俺。以上だ。
まあ……探偵なんて耳触りの良い言葉で括っちゃいるが、実のところは“何でも屋”だ。犬猫探しから引っ越しの手伝いまで、何でもやる。仕事を選り好みできるような状況じゃねえから、基本的にノーは出さねえ(その代わり報酬はきっちり頂くけどな)。だからなのか、他じゃ断られるような案件が俺のトコに少なくない数回ってくる。おかげさまでこんな弱小でも何とか営業できているってわけだ。
……ただ、そういう案件の中には、ヤバいものも混ざっているんだ。
これからするのは、そんなヤバい案件のうちの一つ、俺の人生の向きまで変えちまった事件の話だ。
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