第4話 あなたが見てるからパパにキスできないんじゃないんだから!

 有栖川ありすがわ亜梨沙ありさは大富豪である有栖川龍之介の一人娘で、高校二年生です。


 ちなみに亜梨沙はそこそこ美少女です。


 そんな亜梨沙の邸に新しく執事が来ました。


 その人の名はトーマス・バトラー。執事の本場である英国の出身です。


 金髪で碧眼へきがん。その上イケメンで、亜梨沙は完全に一目惚れしてしまいました。


 


「では、行って来る」


 龍之介はいつものように会社に出勤です。


 メイド十人、庭師五人、コック三人、警備員二十人が龍之介を見送ります。


 そしてトーマスも見送ります。メイド達は龍之介に顔だけ向けてトーマスに目を向けています。


 皆、トーマスの虜です。


 何故か一人、警備員も熱い視線をトーマスに送っています。もしかするとそちらの方かも知れません。


「亜梨沙」


 龍之介はいつものように亜梨沙に向かって頬を突き出します。


 行ってらっしゃいのキスの要求です。


「もう、仕方ないなあ」


 亜梨沙は本当は嫌ではないのに、苦笑いしながら父に近づきます。


(は!)


 その時、亜梨沙は今までと違う状況なのを思い出します。


(トムが見てる……)


 トーマスの視線を意識したので、途端に顔が茹でたトマトのように赤くなります。


「どうした、亜梨沙? 熱でもあるのか?」


 龍之介は心配そうに亜梨沙を見ました。


「か、風邪引いちゃったみたいだから、キスはお預けね、パパ。うつったら困るでしょ?」


 亜梨沙はこれ幸いと父から離れました。


「亜梨沙の風邪なら、パパは喜んでうつしてもらうよ」


 龍之介はニコッとしてちょっとだけキモい事を言いました。


 メイド達がビクッとします。


 コック達と警備員達は苦笑いです。


「だ、ダメよ、パパ! 会社の人にうつるでしょ! だからお預け!」


 亜梨沙はますます赤くなる顔を俯かせて駆け去りました。


「ハハ、残念」


 龍之介は肩を竦め、仕方なさそうにリムジンに乗り込みました。


「行ってらっしゃいませ」


 トーマス達は龍之介を見送り、それぞれ持ち場に戻ります。


 亜梨沙はウォークインクローゼットに隠れて、トーマスが玄関から奥へ歩いて行くのを見届けてから、鞄を肩にかけ、庭を走り出しました。


(トムに見られてるって思ったら、パパにキスできなかった……)


 火照る顔を風を切って冷ましながら、亜梨沙は邸の広大な庭を出ました。



 

 しばらく舗道を走って行くと、


「おはよう、有栖川」


 その声にビクンと反応し、まるで格闘家のように闘気をみなぎらせ、構える亜梨沙です。


 今の亜梨沙なら世紀末覇王も倒せそうです。


 声の主は早乙女さおとめ小次郎こじろう。通称セクハラ魔神です。


「それ以上近づくと、大声上げるわよ!」


 亜梨沙はガルルと唸り声を上げながら、小次郎を威嚇します。


 すると小次郎は肩を竦めて、


「何だよ、せっかく胸が大きくなる方法を教えてあげようと思ったのにさ。つれないなあ」


「え?」


 亜梨沙は「胸が大きくなる」に思い切り反応してしまいます。貧乳女子の悲しいサガです。


「ど、どうすればいいの?」


 興味津々の目で尋ねる亜梨沙ですが、


「こうするのが一番だってさ!」


 小次郎はまた亜梨沙の胸を鷲掴み(できるのでしょうか?)しました。


「いやああ!」


 亜梨沙は絶叫して、誰に教わった訳でもないのに、真空飛び膝蹴りを小次郎の顎に炸裂させました。


「ピン……ク……」


 膝蹴りを食らいながらも、しっかり亜梨沙のヒラヒラのプリーツスカートの中を見ているツワモノの小次郎です。


「何するのよ、変態!」


 亜梨沙は倒れている小次郎に更に罵声を浴びせます。


「あらあら、朝から仲のよろしい事で」


 そう言いながら登場したのは、亜梨沙の親友の桜小路さくらこうじらんです。


 その隣には勘違い街道まっしぐらの桃之木もものき彩乃あやのもいます。


「どこが仲がいいように見えるのよ!? このバカ、またセクハラしたんだから!」


 亜梨沙は激怒して蘭に反論しました。


「蘭ちゃん、亜梨沙ちゃんは小次郎君と内緒で付き合っているんだから、見てみないフリをしましょうよ」


 彩乃が妄想ワールドを展開します。亜梨沙は項垂れましたが、何も言いません。言えば言う程火に油なのが彩乃だからです。


「そのようね。行きましょ、彩乃」


 蘭はクスッと笑って歩き出します。


「ちょっと蘭、待ちなさいよ!」


 亜梨沙はプンスカ怒りながら蘭を追いかけました。


「ああ、待ってよ、二人共ォ」


 彩乃が異世界から帰還して、二人を追います。


「お前、もうセクハラ止めたんじゃなかったのかよ?」


 一部始終を見ていた小次郎の親友である高司たかつかさ譲児じょうじが言いました。


「おかしいなあ。麻莉乃先生に有栖川は喜んでるって聞いたんだけど」


 小次郎は顎を撫でながら起き上がりました。


「麻莉乃先生に? どういう事だ?」


 譲児は不思議そうに尋ねました。小次郎は立ち上がって、


「麻莉乃先生に職員室に呼び出されて、てっきり有栖川の事で怒られるのかと思ったら、『有栖川さんは間違いなく貴方の事が好きよ。貴方にタッチされるのが嬉しいの。だからこれからも同じように接しなさい』って言われたんだよ」


 その話を聞き、麻莉乃先生の魔女ぶりに気づく察しのいい譲児です。


(でも、どうしてそんな事をするんだろう、麻莉乃先生は?)


 さすがの譲児も、麻莉乃先生の魂胆までは見抜けないようです。


(もしかして、麻莉乃先生、小次郎が好きなのか?)


 間違った方向に推理を進める譲児です。


 


 職員室の一角に一人の苦悩する教師がいました。


 美津瑠木みつるぎ新之助しんのすけ、三十歳。国語の先生です。


 身長175cm、筋肉質で体育会系のスポーツ刈りですが、紺系のスーツを好み、目立つ事を極端に嫌う内気な性格です。


 彼は天照てんしょう学園高等部に就職以来、麻莉乃先生の事を密かに思い続けています。


 それもすでに五年。ストーカーとしてもかなり年季が入っている期間です。


 その名前から想像されるようなエロい人間ではなく、至って真面目な新之助先生は、麻莉乃先生に声をかける事すらできません。


 亜梨沙の男版です。もしかすると亜梨沙以上に恋に臆病かも知れません。


 彼は麻莉乃先生の様子が二日前と違っている事に気づきました。


(麻莉乃先生は元々美しい人だけど、更に奇麗になった。何があったのだろう?)


 新之助先生は、麻莉乃先生のわずかな感情の揺れすら察知してしまう究極のストーカーです。


 そしてはたと気づきます。


(もしかして、好きな人ができたのか……)


 全身から嫌な汗が一気に噴き出す新之助先生です。


(一体誰だ? 教師の中にそれほどの猛者はいないし、ほとんどが既婚者だ。まさか、生徒!?)


 更に嫌な汗がジトジトと出て来ます。彩乃に匹敵する妄想癖があるようです。


「先生、早く来てくださいよ! 男子達が『自習だ!』って騒いでますから!」


 おかっぱで眼鏡をかけた三年の女子生徒がムッとした表情で新之助先生に声をかけました。


「え?」


 はっと我に返り、掛け時計を見る新之助先生です。


 すでに授業開始から五分が経過していました。


「す、すまん!」


 新之助先生は大慌てで準備をし、女子生徒について職員室を飛び出しました。


「先生、お疲れなんですか?」


 女子生徒はさっきまで怒っていたはずなのに、ニコッとして尋ねて来ます。


「いや、ボンヤリしてしまっていたんだ。いつもすまんな、錦織にしきおり


 新之助先生は女子生徒にまた詫びます。


「もう、本当に世話の焼ける先生なんだから」


 錦織と呼ばれた女子生徒は口ではそう言いながら、何だか嬉しそうです。顔が紅潮しています。


 もしかして、恋しているのでしょうか?


「そう言うなよ」


 新之助先生は、錦織さんの表情の変化にも気がつかない鈍感男です。


 


 亜梨沙のクラスは麻莉乃先生の英語の授業でした。


「有栖川さん」


 亜梨沙が鞄に教科書を入れていると、麻莉乃先生が話しかけて来ました。


「何でしょうか、先生?」


 亜梨沙は顔を上げて立ち上がります。麻莉乃先生はニコッとして、


「有栖川さんは昨日、学園まで車で来ましたよね?」


「はい。申し訳ありません。遅刻しそうになったので、送ってもらいました」


 亜梨沙はまさかそんな事を言われるとは思っていなかったので、麻莉乃先生の次の言葉を待ちました。


(また反省文?)


 嫌な汗が背中を伝います。


「まあいいでしょう。その事に関しては、不問に付します」


 麻莉乃先生の意外な言葉に、


「へ?」


と思わず間抜けな顔になる亜梨沙です。


「ですが、一応車を運転していた方に事情をお伺いしたいので、本日有栖川さんのお邸に行きますね」


 麻莉乃先生の話は、亜梨沙の理解を超えていました。


(ど、どういう事?)


 自分に余裕のない亜梨沙は、麻莉乃先生がトーマスを狙っているとは夢にも思いません。


「いいですね、有栖川さん?」


 麻莉乃先生に念を押され、ハッと我に返る亜梨沙です。


「あ、はい」


 麻莉乃先生は、亜梨沙にわからないようにニヤリとしました。


(我ながら名案ね。これであの執事さんとお近づきになれるわ)


 魔女な麻莉乃先生です。


(そして、有栖川さんには早乙女君をけしかけておけば……)


 もう魔王並みの麻莉乃先生です。越後屋とお代官様も裸足で逃げ出します。


 


 そして放課後になりました。


「有栖川さん」


 麻莉乃先生が玄関を出ようとしていた亜梨沙を呼び止めました。


「はい、先生」


 亜梨沙は蘭と彩乃に先に行っててと小声で言ってから、麻莉乃先生に近づきます。


「申し訳ないのだけど、早乙女君の補習を監視して欲しいの。お願いしますね」


「え、私がですか?」


 亜梨沙は思ってもいない方向からのピンチ襲来に驚きます。


「そうですよ。貴女は英語係なのですから、早乙女君のような生徒の面倒を見るのが役目です」


 麻莉乃先生は職権乱用です。亜梨沙は溜息を吐き、


「わかりました……」


と項垂れて返事をします。


「早乙女君は教室で問題を解いていますから、見てあげてくださいね」


 麻莉乃先生は会心の笑顔でそう言うと、スタスタと校舎を出て行ってしまいます。


「何で私が……」


 亜梨沙は、英語係になんてならなければ良かったとつくづく思いました。


 


 蘭と彩乃は学園を出て舗道を歩いています。


「亜梨沙ちゃん、どうしたのかしら? またお説教かしら?」


 妙に嬉しそうに蘭に訊く彩乃です。蘭は少々呆れ気味に彩乃を見て、


「さあ。わからないわ。私達の知らないところで、亜梨沙がまた何か仕出かしたのかも知れないわね」


と肩を竦めます。


「そうかあ。亜梨沙ちゃん、内緒で付き合っている小次郎君との事を麻莉乃先生に知られて注意されるのかな?」


 彩乃の「ザ・ワールド」が解放されました。蘭はそこから逃げるように、


「どうかなあ。ああ、私、急用があるから、先に行くね!」


と言うと、またしても令嬢とは思えないような速さで走り去りました。


「ああ、蘭ちゃん!」


 彩乃は世界記録にでも挑むかのような蘭の走りに驚きましたが、


「もう、仕方ないなあ。また帰ってジョニデ祭でも観ようか」


と呟くと、ニンマリして歩き出しました。


 


 亜梨沙は気乗りしないまま、教室に戻ります。


 中をこっそり覗くと、小次郎が懸命に問題を解いているのが見えました。


(何だ、あいつ、真面目にやってるのね)


 少しだけ小次郎を見直す亜梨沙ですが、そう遠くない将来、それを後悔する事になります。


「頑張ってるね、早乙女君」


 亜梨沙は小次郎に声をかけて近づきます。


「ああ、本当に来てくれたんだ、有栖川!」


 小次郎が涙を流して喜んでいます。亜梨沙はキョトンとしました。


「麻莉乃先生が、有栖川は俺の事が好きだから、教室で待っていれば必ず来てくれるって言ったんだよ」


「えええ!?」


 亜梨沙はもう訳がわかりません。


(何でそんな話になってるのよ!? 早乙女君は補習じゃないの? 麻莉乃先生が言ったってどういう事?)


「感激だよ、有栖川!」


 小次郎は泣きながら亜梨沙に抱きつこうとしました。


「何するのよ!」


 亜梨沙の必殺技の一つ、幻の右ビンタが炸裂し、小次郎の身体がクルクルと宙を舞います。


「麻莉乃先生!」


 亜梨沙は怒りの矛先を麻莉乃先生に向け、ボロ雑巾のように倒れ伏した小次郎を置き去りにして教室を飛び出しました。


 


 その頃、麻莉乃先生は近くの喫茶店で着替えをすませ、亜梨沙の邸に来ていました。


 普段より派手なピンクのパンツスーツです。


 しかも胸元は吸い込まれそうなくらいに深く開いています。


 グランドキャニオンのような谷間がそこに見えました。


(ああ、何だかドキドキして来たわ)


 すでにトーマスと新婚旅行に出かけるところまでシミュレーションした麻莉乃先生です。


 邸の門をくぐると、警備員が現れました。麻莉乃先生は亜梨沙のクラスの担任だと名乗り、邸に通されます。


 警備員も麻莉乃先生の美しさにやられてしまったようです。


 ポオッとして、歩き去る麻莉乃先生の形の良いお尻を見つめています。


 麻莉乃先生の快進撃は続きます。


 麻莉乃先生に気づいた庭師五人が仕事を忘れて食い入るように胸の谷間を見ています。


 そして麻莉乃先生が玄関の前に着いた時、中からトーマスが現れました。


「いらっしゃいませ。亜梨沙お嬢様のクラスの担任の先生ですね?」


 トーマスがキラッと白い歯を見せて微笑みました。


「は、はい」


 麻莉乃先生の快進撃はそこで止まりました。


 ここからはずっとトーマスのターンです。


 彼の後ろについて来ているメイドは全員ポオッとしています。


 麻莉乃先生も、トーマスを落とすつもりが自分が落ちてしまった事に気づけないほどポオッとしていました。


「ご用件をお伺いできますか?」


 トーマスが笑顔で尋ねましたが、麻莉乃先生の耳にはすでに何も聞こえていません。


「先生? いかがなさいましたか?」


 麻莉乃先生が目を開けたまま気絶しているのにトーマスが気づいたのは、それから一分後でした。




 麻莉乃先生は邸の客間に運ばれ、ベッドに寝かされました。


 トーマスが傍らで麻莉乃先生を看ています。するとそこに鬼の形相の亜梨沙が駆け込んで来ました。


「お帰りなさいませ、お嬢様」


 トーマスは振り返って亜梨沙に言いました。亜梨沙はまさかトーマスがいるとは思っていなかったので、びっくりして一瞬固まります。


(麻莉乃先生とトムが二人きりーー!?)


 頭が沸騰しそうになる亜梨沙です。それでも何とか復活します。


「な、何があったの、トム?」


 亜梨沙はトーマスを正面から見ると危険なのを知っているので、麻莉乃先生を見て尋ねました。


「私にもわかりません。玄関でお出迎えした時にお気を失われたようです」


 トーマスの説明を聞き、ニヤリとする亜梨沙です。


(麻莉乃先生、もしかしてトーマス狙いだったの? 結婚を焦ってるって噂、本当だったのね)


 麻莉乃先生が無謀な「攻撃」に出て無残に「撃沈」したのを知った亜梨沙はガッツポーズを決めます。


「どうなさったのですか、お嬢様?」


 怪訝そうな顔で自分を見ているトーマスに気づき、


「ああ、何でもないわ。そう、わかった、ありがとう、トム」


と言うと、目を合わせないようにして客間を出る亜梨沙です。


「……?」


 亜梨沙の言動に首を傾げるトーマスです。


 


 結局、麻莉乃先生は落ち込んで有栖川邸を去りました。


 亜梨沙は城を守り切った戦国武将の心境でホッとしました。


(でも、麻莉乃先生はそんな簡単には諦めないわ。また来るわね)


 何度来ても無駄だと、ない胸を張る亜梨沙です。


 


 そして翌日の朝です。


「では、行って来る」


 龍之介はまた亜梨沙に頬を突き出します。


 亜梨沙は昨日の事をすっかり忘れて、また行ってらっしゃいのキスをしかけますが、


(あ!)


とトーマスの存在を思い出します。


「ま、まだ風邪治っていないから、お預け!」


 亜梨沙はまたしてもその場から逃げ出しました。


「そうか。仕方ないな」


 龍之介は残念そうにリムジンに乗り込み、出かけました。


 亜梨沙は龍之介が出かけたのを見て、こっそり邸を出ようとしましたが、


「お嬢様」


 トーマスに呼び止められてしまいます。


「な、な、何?」


 亜梨沙はドキドキしながらトーマスを見ます。


 トーマスは何故か大きめのマグカップをトレイに載せて立っていました。


「私の生まれ故郷に伝わる風邪の特効薬です。どうぞお飲みください」


 トーマスは亜梨沙に近づき、跪いてトレイを差し出します。


「あ、ありがとう」


 亜梨沙は言われるがままにマグカップを手に取ります。


「これは?」


 いい香りがする温かい飲み物です。亜梨沙は気になって尋ねます。


「レモンのお湯割りに蜂蜜を加えたものです。お身体が温まります」


 トーマスは笑顔で言い添えます。亜梨沙はそれをうっかり見てしまいました。


(ああん、もう本当に今すぐお嫁にもらって、トムゥッ!)


 とんでもない妄想を繰り広げる亜梨沙です。そして、グッとそれを飲みます。


「あったかい。飲み易い……」


 亜梨沙は一気に飲み干してしまいました。


「それで明日からは、旦那様にキスできますね」


 トーマスがマグカップを亜梨沙から受け取りながら言いました。


「あ、あなたが見てるからパパにキスできないんじゃないんだから!」


 亜梨沙はトーマスの優しさと心遣いに感謝しながらも、口ではそんな事を言ってしまい、


「行って来ます!」


と鞄を肩にかけて走り出しました。


「行ってらっしゃいませ、お嬢様」


 トーマスは深々と頭を下げました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る