第1話

 私の名前は佐倉さくら三久みく!高校一年生!好きなものは牛肉と豚肉と鶏肉!!でも魚もいいよね〜、刺身も美味しいし…あ、刺身って言ったら馬刺しかな〜。あの柔らかい食感がたまんないっ!

 あ、そんな肉のことばっかり言ってもだめだよね。まあ、私はそんな、本当に思春期の女子なのか!?ってほどの肉好きです。そんなに食べて大丈夫なの?だとかよく太らないね…だとか言われるのは日常茶飯事。でも、それくらいお肉が大好きなのです。

 でも逆に野菜類は大の苦手。あんなみずみずしい緑色な物体、食べれるわけないじゃん。まあ、そんな感じでお肉しか食べてない私だけど、別に体重はそこまでの重量ではありません。プライバシーに関わるので何キロかは言いませんが、まあ、高校一年生の平均ぐらいだと思ってくれればいいです!そのせいで、もっと太れよ!だとかその身体をよこせ!だとか色々と妬みを言われるんだけどね〜。

 それで…まだ喋るのかって思うかもしれないけど、私の1番好きな動物のお肉は…


「鶏肉だな?」


 そうそう鶏肉!脂身もあんまりなくていくらでも食べれるしね!牛肉も豚肉も美味しいけど、私は鶏肉こそ至高だと思うよ…


「って誰!?」


「反応遅くないか…、誰に向かってそんなに肉類の話を熱心にしてるのかとずっと見てたのだが…」


「なっ…。いやー、聞かないでよ〜恥ずかしいなーもう」


「貴方が勝手にしていたのだろう!?」


 私はえへへと頭を掻きながらニッコリ笑うと、それと同時にこの者が何者なのか頭の中で議論を始めた。

 これは、私が今日はどのお肉を買うか悩んでるときと同じ…、その名もスーパーお肉ジャッジを使ったときと同じ状態である。

 しかし、そのスーパーお肉ジャッジをもってしても、この人が誰であるかは私にはわからなかった。というか初めて会った人を見破るとかできるわけないよね〜、何やってんだろ私。

 とりあえず見た感じでわかるのは、身長は高めであること、髪の色は黒でロング。顔立ちもよく色白で私以上に美人さんだということだ!悔しい!!


「貴方が笑顔で何を考えてるのか…いや、思考は感じとれるが…その、よくわからないが、私の名はシュバルムだ。こことは別の世界から貴方の元へやってきた。貴方を私たちの世界へ連れて行くために」


「へぇ〜そうなんだー、よろしくねシューちゃん」


「なっ、なんだその呼び方は!?しゅ、シューちゃん…だと!?わ、悪くはない…が…。

 ってそんなことではない!!どうしてそんなに平気な顔をしているのだ…!?」


「え?どうしてって?」


 …うーん、どうしてかって言われても、私、シューちゃんが何言ってるのか全然わかんなかったんだよね…、別の世界とか言われてもなんなのかわかんないし、でも何となくお肉の知識は高そうな気がするよ。

 私は腕を若干膨らみのある胸の前で組むと、顔を下に向けて凄く悩んでる…ふりをした。


「そうか…、何も理解できてないのか。

 ここの世界の人たちはだいたいこれだけで察しがつくと聞いていたんだがな。どうやらそういうわけでもないらしいな」


「なっ…、わっ、わかってるに決まってるじゃん!この三久様にしてみればこれくらい余裕ですのよオホホホホ〜」


「そうか、ならついてきてもらおう。正直貴方の様子を見て私はかなり不安なのだが…うちの王様が貴方の力を借りたいそうだ。では、こちらへ」


「えへへ〜、行くよシューちゃん!みくにくダイブっ!!」


「ちょっ!?誰も飛びつけとは言ってな…!?」


 私はシューちゃんが何やら怪しげなゲートをつくっている途中にシューちゃんの身体に思い切り抱きついた。

 …多分シューちゃんはこの扉から私の部屋に入り込んできたんだろうけど、このなかに入ったら…私ここに戻ってこれるのかなぁ?


「まあ、細かいことは行ってみてから決めればいいよねっ!」


 私はシューちゃんの身体にしがみついたままその怪しげなゲートを突き破るようにして、無理やり中への入っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る