ラムポークチキンビーフ 〜この世はお肉でできている〜

ちきん

プロローグ


 この世界は肉でできている。

 食事に出されるものは全て肉、野菜など絶対にでてこない。

 この世界には肉力というものが存在し…、生まれつきこの力を多く持つ者ほど大きな力を持っていた。

 この力は多くの肉を食すことでさらに上へと伸ばすことができ、肉力を極めしものは、この世の全て…全ての肉を治めることができると言い伝えられていた…


「隊長!!前方から牛肉派が攻めてきますっ!!」


「くっ…、チキン南蛮隊!チキン南蛮隊を出陣させろ!」


「それが…、チキン南蛮隊は食事中でして…」


「あーもう!使えん奴らめ…。もういい!私が行く!」


 そう言った鶏を肩に乗せた女性は、苛立った表情でその場を離れようとした。

 部下であろう、先ほどまで話していた男の兵士がそれを止めようとしたが、彼女はもう戦場の中へと消えてしまっていた。


「うーむ…、この牛の数…隊長だけでは…、あ!先輩っ!!」


「ごめ〜ん、お肉食べてたら遅くなっちゃって…」


 そんなことを言いながら奥から出てきた少女は、頭を掻きながら舌をぺろっとだし、その男兵士に向かって頭を下げた。

 

「先輩が遅いから隊長が1人で向かっちゃいましたよっ!!早く俺たちもいかないとっ!!」


「そうだね〜…、そうか…今日の晩御飯は牛肉か…、最近鶏肉ばっかりで飽きてたんだよね〜」


「そんなこと言ってないで!早くっ!!」


 焦りながら脚をジタバタ動かす男兵士に連れられ、その少女も戦場へと駆け出していった。

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