ショートショート「ブーメランおじさん」
ブーメランおじさんはブーメランの達人。
ぼくら子供のブーメランはスポンジでできた奴だけど、おじさんのは木でできた、ずっしり重そうな「く」の字に曲がったやつさ。
おじさんの投げたブーメランはどんなに遠くに行っても、必ず空にきれいな弧を描いて戻ってくる。僕たちはそのたびにわあわあ騒いで拍手する。おじさんは僕らを見て、自慢げに笑うんだ。
おじさんは僕に、ブーメランの投げ方を教えてやると言ってくれた。
「わからないことがあったらなんでも聞いていいぞ!坊主!」
「ねえ、おじさん!」僕は手をあげて聞いた。
「おじさんはどうして大人なのに、毎日公園で遊んでるの?」
ずっしり重そうな「くの字」に曲がって、おじさんはとぼとぼ帰って行った。
そしてそれから、二度と公園に来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます