1章外伝3ー②…その頃の召喚組『魔法講座』

今日の予定は魔法に関して指導を受ける事になった。

昨日の戦闘技能組は今日魔法に関して学び、逆に魔法技能組の方はヴァレンシュ騎士長に護身術と技能について教えを乞うようだ。


(ふふ、やっと魔法を学べるのね。それに魔法って事は彼女ともまた顔を合わせられるって事でしょうしね)


魔法を学べる。

ほかの皆も期待からかワクワク感が漂う。

咲夜も魔法を会得出来ると高揚感が強く感じられた。

なにせ今までは幻想Fantasyだったものを実際に使う事が出来るようになるのだから。

昨日の実技訓練で武器の扱いに戸惑っていた者も楽し気な雰囲気があった。


(しかし、どうしてこうして座っていないといけないのかしら?)


そんな疑問を抱く。

咲夜を含む戦闘技能組は今、自分の肌でも何となく感じられる魔力が満ちている一室の床に座っていた。皆が座っている空間の中央には五芒星の円陣が描かれている。

天井に目を向けるといくつも色のクリスタルが紐もなく浮かんでいる。

如何にも神秘的なその場に咲夜はどんな事をするのかと高揚感を得ながら座って本日指導するあの人を待っていた。


『ふふ、どうやら皆さん御集りの様ですね』


突如女性の声がこの場に聞こえた。

その声に咲夜は聞き覚えがあった。


(あの人ね。でも……どこに?)


皆キョロキョロと今先頃聴こえた声の主を探そうと目で探す。しかし見えるのはクラスメイトの姿だけだった。


『あらあら、私は此処ですわよ』


再びあの人の声が聞こえた。

今度は明確に声が発した場所が分かった。

それは自分達の前にいると。


全員がそれに気付き目を前に向ける。


『そう、そこですわ…』


その声と共に目の前の空間が揺れた。驚きの声と共に、あの人、白の魔導師ホワイトベレーの姿がそこに現れた。


「フフ、驚かせてしまいましたね。まずは魔法とはこのようなものもあると言う事を直に感じて頂ければと思いさせて頂きました。驚いて頂けたようですね」


皆驚きのまま頷く。

咲夜はやはり面白い人だと思った。


「まずは初対面の人が殆どですので挨拶をさせて頂きます。因みに皆さんの事は予め調べていますので自己紹介は不要です。では、初めまして、ですね。これから主に私こと白の魔導師ホワイトベレーが皆さんの魔法関連の指導を行う事になります。どうぞよろしくね」


白の魔導師ホワイトベレーが挨拶をした。

その中で「よろしく」と返事を返したのは咲夜と正儀の二人だけだった。


「あら?元気がないですね他の皆さんは?昨日の方々はもう少し元気があったのですが。うぅん1人大人の方がおられたからでしょうか?」


「まあいいわ」と呟くと白の魔導師はまずこの世界においての魔法について語り出した。

まず魔法とは、己の内に秘められた魔力を、魔法を発現させる際に必要な魔方式と魔法陣、それと詠唱を用いる事で発言できる神秘の御業を言う。


「魔法には分類が二つあります。それは魔力を用いた純粋な魔法。無属性魔法と私達は呼んでいます。この魔法は基本的に魔力を有していれば、まあ基本的に才能の有り無しはありますが誰にでも扱えます。次に属性を用いた魔法。通称属性魔法と呼ぶものです」

(属性魔法…)


そうですね、と呟くと、彼女は何やら小さく詠唱した。すると彼女の後ろに黒板の様なものが浮かんでいた。

物がいきなり現れたりする。これも魔法なのだろうか。咲夜は便利そうでいいなぁと思った。


「ええ、今日はとりあえず皆さんの持っている属性の確認と、複数の属性を持つ者は最も得意とする属性の確認を行います。その後は皆さんの保有している魔力量の確認とどの程度魔力を開放できるかを確認します。因みに皆さんの中になぜこのように座って受けているか疑問に思った人もおられるかと思います」


頷くクラスメイトがちらほら見られる。

どうやら自分以外にも疑問に思う人がいた様だ。

白の魔導師ホワイトベレーがその疑問に答えた。


「それは説明の後に行う魔力の解放と持続量を確認する際に楽な姿勢が好ましいからです。その理由は―――」


どうしたのだろうか?急に白の魔導師ホワイトベレーは言葉を切った。


「…はぁ、面倒ですね。やはり」


急に溜息を付くと面倒だと言い出した。

急な態度の変化に正儀が右手を上げながらどうしたのか?聞いた。


「あのぉ、白の魔導師ホワイトベレーさん?どうしていきなりそのような事を?」

「…だってですね。今からする説明も工程も昨日同じ事をするのです。同じ事を繰り返すなんて面倒ではありませんか?正直昨日にまとめて行うべきだと思うのですよ。改めてそう考えると」


はぁ、と溜息を付く白の魔導師ホワイトベレー

どうやら白の魔導師ホワイトベレーは色々とやる事が多いらしい。故に繰り返しがどうやらお気に召さないらしい。

しかしここで面倒がられてもよくはない。

正直楽しみだったのだ。教えをちゃんと乞いたい。


「そんなことを言わず教えて頂けないかしら白の魔導師ホワイトベレーさん」


咲夜はフードで隠れている彼女の瞳をジッと見つめそう言った。

私はやる気があるの!そう強い思いを籠め真剣な目を向ける。


「…あら。ふふ、良い瞳ね。その蒼眼を見ていたら少しやる気になったわ」

「それはどうも。とりあえず続きからお願いしたいわ」


どうやら気を持ち直してくれたみたいね。

何だか周囲からよくやった!的な視線が向けられていた。

正直自分の為にしただけなので、気にせず、続きを話し始めた白の魔導師ホワイトベレーに注目する。


「えっとどこまでだったかしら……あぁ、座りながらの理由でしたね。まあ簡潔に言いましょう。それをしたあと必ず気を失い倒れるからです」


それを聞いて周りのクラスメイトは「はあぁ!?」と不満声を上げた。

それを咲夜は告げた。


「煩いわ。騒がしいわ、あなた達。ちゃんと最後まで聞きなさい」

「なんですって!」


長い髪の先をドリル?にしている女子のクラスメイトが睨んで来る。けど気にしない。

無視して白の魔導師ホワイトベレーに続きを促す。


「さぁ、続きをお願いするわ。どう言う事なのか説明してくれる?」

「ふふ、どうやらこの面々の中では勇者君よりアナタが適任者の様ね。では続きを話しましょうか。さてどうして残存魔力を測り終えると倒れるのか?それは魔力を限界まで枯渇すると”魔力酔い”と呼ばれる状態となるからです」

「”魔力酔い”?」

「えぇ。魔力を失う事で起きる症状です。この状態となりますと……そうですね。皆さんに分かり易く説明するならお酒を飲み過ぎて酔った状態、もしくは船酔いした様な身体を正常な状態で維持できない状態が分かり易いと思います。勿論この状態になった場合には魔法は勿論戦いなどもってのほかの状態です。故に魔力を過剰に失った人は速やかに魔力を回復できる”精神回復薬”、もしくは他の者から魔法なり能力なりとで魔力回復をしても貰う必要となります。そして自分の魔力限界がどの程度か把握するのは魔法を使う者にとっては初歩的なものなのです」


なるほど、と先程不満気だった者も納得に至ったようね。


「ではまずは魔法について――」


白の魔導師ホワイトベレーが魔法について語る。

魔法を行使する為のプロセスがあるらしい。

まずは行使する魔法の魔法式を理解している事。

魔方式を理解していなければ基本的には魔法をまず発現できないみたい。中には既にその者の内に魔方式が構築している場合があるらしい。


「あっ、俺かもしれない」


正儀がそう口にした。


「…そうですね。魔法適性が高い。つまり魔法の適性の高い魔法使いにはあるのです。確かあなたの”加護”には一つの属性適性を得られるものがあったはずです。もしかしなくてですが、勇者君は既に会得しているのですね」

「はい。俺は【雷】の属性を得ています」

「雷ですか。なる程。では勇者君は基本四属性に加え雷の五属性を扱えるわけですね」

「はい」


まわりが「おおっ、すごい」とか「さすが正儀君」と尊敬の眼差しを向けている。

白の魔導師ホワイトベレーによれば基本四属性を4つとも会得しているのは稀であるらしい。


(相変わらず空気読めないハイスペックね正儀は)


何をしても要領がよく何でもこなせる従兄に、呆れを含ませる咲夜。


「因みに私は基本4属性に固有属性の【白】と【黒】が扱えますけどね」


そう「どうですか私の方が凄いですよ」と言うかのように告げた白の魔導師ホワイトベレー


(ふうん。意外と負けず嫌いなのかしら?)


そんなやり取りの後続く。

魔方式を理解した後。

次は理解した魔方式を魔法陣として魔力を用いて展開する事。

魔方式を理解していれば魔法陣として展開するのは簡単らしい。ただ展開時の魔力を注ぐ量の調整は魔法適性の無い場合は難しいらしい。


そして展開した魔法陣を起動させる為にその魔法の鍵となる詠唱を捧げる。そうすれば魔法を発動する条件は全て揃う。あとは発動する魔法名を唱えれば発動。

これが一般的な魔法行使の流れと教えてもらった。


「では魔法について説明した所で、次に皆さん、あぁ、勇者君は既に【雷】と分かっているので省きますわ」


そう告げられ正儀がなんだかガックリと落ち込んでいた。

うん。勇者だからと調子に乗ってるからいい気味ね。


「皆さんには今から配る物を使って最も得意な属性適性の確認を行います」


白の魔導師ホワイトベレーは人数分の10㎝くらいの白い紙をまた何もない場所から取り出すと、


「”そよ風よ”」


そう短く詠唱する。すると取り出され空中に浮かんでいた紙がフワッと風に乗るように咲夜達に運ばれる。

自分の前に来たその紙を手に取る。

手にして見た目は普通の白い紙と言うのが感想だった。


「行き渡りましたね。ではこの紙について説明します。この紙は皆さんから見ればただの紙に見えているでしょう。魔法適性が高い魔法よりの者からすればただの紙でないと分かるものです」

(つまりこれが普通の紙に見えるイコール魔法適性は低いと言う事ね)

「この紙は手にしている者の魔力の波長を読み取り、紙にその属性の色として現れるようにできているのです。因みに属性適性を持たない者もいます。そう言った者は無属性。つまり天職に関した能力に秀でている場合があります。なので何も浮かばないと言って落ち込む必要はありません。まあどう捉えるかはその人個人の自由ですけどね」


なるほど。無属性と言うのも面白いけどやっぱり属性は欲しい。

基本四属性は火、水、風、地の4つらしい。

紙に浮かぶのは火属性なら赤、水属性なら青、風属性なら緑、地属性なら茶で浮かぶみたい。

そしてそれ以外の、基本四属性と異なる属性を【特殊属性】と言うらしい、の場合はその属性の色と属性にあった紋様が浮かぶらしい。

これからする必要がないと言われた正儀の場合【雷】と分かっている。その時に浮かぶのは黄色の雷の紋様が浮かぶらしい。

昨日の魔法天職組の中では、担任の先生である繚乱花恋が【植物】の属性持ちだった様だ。

あと恐らくこの戦闘組の中にはいないであろう属性があるみたい。

それは白の魔導師が持っている【白】と【黒】の2つらしい。これらは【固有属性】と言い、特殊属性よりも希少性のある属性らしい。


そう説明を受けた後さっそく属性チェックを開始した。


座りながら右手に持った紙を見詰める。

咲夜は眼を閉じる。そして白の魔導師ホワイトベレーに説明された通りに”魔力通し”を行う。


”魔力通し”とは魔力の籠っている物に自分の魔力を注ぐ技法の事らしい。武器に己の魔力を付加させ物の強化させる”魔力付加”。これから判明する属性を物に付加させる術”属性付加”の初歩と言える技術みたいだ。


どんな属性だろうかな、と期待しつついるとふと右手の紙に何か不思議な、何処か自分に近い力が宿っている様な気がした。

そっと閉じた目を開ける。

そこには緑の鋭さのある渦の様な風の紋様が浮かんでいた。


どうやら自分の得ていた属性は【風】である事が分かった。


(風かぁ…うん。自分に合ってる気がするなぁ。誰にも私の行く道を妨げさせない!って感じがして気に入ったわ)


自分の得意な属性である【風】に満足する。

全員確認出来た様だ。

満足した者。

不満のある者。

それぞれの反応を示していた。


「さて、皆さんそれぞれ得意とする属性を把握できた所で、これから各属性事の初歩的な魔方式を教えます。一人一人教えていては時間が掛かりますので今から私が各属性を持つ者の頭に直接語り掛け伝授します。ちなみに私は四属性と白と黒のみなので、他の属性を持つ者に関しては1人1人に伝授します」

「ねえ白の魔導師ホワイトベレー?」

「ん?どうしました咲夜さん?」

「どうして今教えるのかなって思ったのだけど、どうしてかしら?」


少し気になったので聞く。

属性を把握したら魔力限界値の確認をすると言っていたので、なぜ魔法も教えてくれるのか気になったからだ。


「ああ、それはですね。私は正直色々やる事があって時間がそれ程余裕がないのですよ。魔法天職組の方が私のメインでもありますからね。時間はそちらに多く取られるでしょう。それに……皆さんには正直に言うと、戦闘に特化している皆さんに殆ど魔法は不要と言えるのです。身体強化や魔力を己の武器、アーティファクトを扱うのがメインとなります。アーティファクトの種類にもよりますが殆どの皆さんはチームを組む際には前衛を担当されるでしょう。前衛が魔法を唱えるのは時間の無駄使いです。故に今私は皆さんに基本の初歩魔法と、身体強化系の魔法の2つを伝授するのです。無論気になる事があれば聞きに来て頂ければ答えるようにはします。ですが先にも述べた通り時間があまり私にはないので応対出来ない場合が多いと思って頂きたいのです」

「なるほど、納得いったわ。進行を止めて御免なさいね」

「いえいえ知的好奇心があっていいですよ、フフ」


笑みを浮かべる彼女に咲夜も笑みを浮かべる。

やはりと確信する。

面白いと。

あまり時間がないらしいけど、気になった事は積極的に聞きに行こうと咲夜は思った。


それから各属性毎に初歩となる攻撃魔法、身体を強化する強化魔法を伝授してもらった。

咲夜は風を刃にして攻撃する魔法を伝授された。


(頭の中に直接声が響いてきたのは驚いたわね。いわゆる”念話”と言うものみたいね。本当凄いわ)


あと身体強化魔法。風の浮力を利用した高速移動術を習得した。


(私にはやはり風があってるわね。私の”加護”との相性もいいしね)


咲夜の加護は瞬間的に身体能力、特に脚力の増幅効果と無音状態による索敵を隠蔽する効果を合わせたもの。


一人一人に伝授された。

因みに正儀はまったく相手にされていない。

正儀は属性持ちに加えて、どうやら既にいくつかの魔方式が頭に浮かんでいるらしい。なので、相手にされなかった。いわゆる放置である。

これまでの中ジッと「いいなあ」とかブツブツ言いながら正儀は羨ましげに眺めていた。

うん。いい気味ね。


その後。


いよいよそれぞれの今の魔力限界を測る時が来た。

まず白の魔導師ホワイトベレーが準備と何度も見た異空間から何かを取り出す。

取り出したそれは黒い木の枝の様に見えた。

取り出した黒い枝を恐らく風の魔法でそれぞれの前まで運ぶ。

咲夜の目の前にも運ばれる。

その黒い枝をジッと見つめて気付いた。

魔法についての知識を得たからかは分からないけど何となく理解できた。

この黒い枝は”呪詛を含んだ曰く付きの物である”と言う事に。


「さあ皆さんの前に行き渡りましたね。おっと、私が許可を出すまではそれに触れてはいけませんよ。それは魔力を吸う魔物の器を削り取ったものです。それに触れたものは魔力を吸われます。勿論魔力を吸うのみで害と言えるものはありません」

(いや。魔力を吸われるのは害だと思うのだけど?)


そう思った。そして魔物には魔力を吸う能力なんているんだと分かった。

白の魔導師ホワイトベレーは魔法で浮かべているので、直に触ったりしなければ、例えば遠距離からの攻撃魔法でなら特に問題はないと思った。

なんとなく今回の講義はそれを伝える為だったのではと考えた。


「ふふ、では皆さん。私が『始め!』と言いましたら、目の前の黒き枝【ブラギ】を握って下さい。大丈夫です。そのブラギは私が調整していますので、その者魔力の限界一歩手前で消えるようにしています。昨日受けた皆さんも問題なく終えられましたので、心配なく挑んで下さい。大丈夫です。気を失った後は私が責任を持って皆さんの部屋に送りますので。――――では、『始めっ!』」


何処か不安げではあるが皆、白の魔導師ホワイトベレーの開始の声に恐る恐ると手を伸ばし握る。

咲夜も手を伸ばし黒い枝ブラギを握る。


(くっ!?)


握った瞬間自分の魔力がブラギの枝に吸われ失っていく。

吸われて行くに連れ苦悶気に眉間が寄る。

気をしっかりと自分に言い聞かせる。

そうしなければ何だか一気に持って行かれてしまうと思えた。


始まって30分が経過しただろうか。

それくらいから次々に、


「も、もう、無理…」

「星が見えるぅ…」


と言いながら続々と気を失い横に倒れて行く。

その光景を目にし「なるほどこういう事なのね」と座って行うの意味を今更ながら実感した。


「ぐぉおぉ、俺様が、ここまでかよ…」

「む、無念なり…」


大柄の男子と、髪をポニーしている男子が倒れる。

残りは咲夜と正儀の二人となった。


「…あら、アンタまだのこっ、てるの?さっさと脱落しな、さいよ」

「…いやいや、ま、まだ」


これは己の限界を知る為なのだか、何処か2人は競う様であった。

2人とも表情は既に苦し気で顔色も青くなってきている。

だが2人の目にはまだまだと言うかのような輝きがあった。


(なんでこの二人競い合ってるのかしら?これって個人の魔力向上測定なんだけど…フフ、変な子たちね)


咲夜と正儀に変な子と思いながら苦笑する白の魔導師ホワイトベレー


始まってさらに10分が経過。


「…くっ、ここまでね…」

「…咲夜に、勝ったね…ぐたっ…」


咲夜が先に限界が訪れ気を失い倒れる。

その直ぐに正儀も限界を感じ横に倒れた。

咲夜は何処か悔しそうに、正儀は満足気であった。

そんな二人をやっぱり変な子たちね。と白の魔導師ホワイトベレーは苦笑しつつ自身の指に填めている赤い宝石のついた指輪を外す。そして外した指輪に魔力を注ぎ赤の指輪を起動させる。

この指輪には”転移”の術式が組み込まれたアーティファクトに似た魔導具の一つなのである。

白の魔導師ホワイトベレーは優秀な魔法使いであると同時に魔力効果を持つ魔導具の作成能力も有している才児なのである。


真紅の光を放つ指輪。

光が強く放つ。

室内を覆う程の光。

光が落ち着くと、その場には白の魔導師ホワイトベレーだけしかいなかった。

他の、咲夜達はそれぞれの部屋のベッドに転移されたのだ。


「ふう、これで今日はここまでですね…」


そう呟いた後、白の魔導師ホワイトベレーは足元に魔法陣を展開して詠唱を唱えると空間移動の魔法を発動しその場を離れるのだった。



ちなみに咲夜はこの日も次の朝まで寝入っていた。


「また夕食、食べ損なったわね…うっ…」


次の朝に筋肉痛とは違う、魔力酔いが残っていた気持ちの悪さのある朝をそんな風に呟きながら迎えた。



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