エピ剣《ソード》オンライン

春咲 暖

skill 1

ゲームは好きか?

こう聞かれて『いいえ』と答える人はそうそういないと思う。まして、ゲームなのに現実みたいな体験が出来るモノを…


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『ふぁー』

双川 日向は本日何回目かもわからないあくびをしていた。そうすると横にいる友人から声をかけられた。

『お前これで何回目のあくびだよ』

という軽口が聞こえた。

『眠いもんはしょうがないだろ。大体な、今何時だと思ってんだよ……』

『えっと…。4時30分かな?』

『本当に呆れるわ!』

『じゃあなんで日向もついてきたんだよ。そんなこと言うなら家で寝てれば良かったじゃん』

『うぐっ…。そっ、それはそれじゃん!』

俺こと、双川日向と友人の在原蒼は今ゲームショップの前にいた。なんでこんなに早い時間にいるのかというと新発売のゲームを買うためだ。うん。当たり前だな。実に当たり前だ。ちなみにゲームのジャンルはVRMMORPGだ。このジャンルのゲームは、最近になって一般的になってきたゲームだ。前までは、お金持ちの人しかできなかったからなんだが……。

そしてこれは自分自身がゲームの中に入ったみたいな感覚が味わえる。蒼から聞いた時は正直驚いたが不覚にも面白いと思ってしまい今に至る。

そして不意にゲームが買えるだけの金があるのか心配になり財布の中身を確認する。とりあえず二本買える分の金はあった。それを盗み見ていた蒼はニヤニヤした顔つきで言う。

『つーかさ日向。なんでお前二本分買える金持って来てんの?まさか平織にでも頼まれたのか?』

どこかにからかいを含んだ声だった。

『な、なんで莉穏に頼まれたって知ってんだよ!』

が、そんな分かり易い質問に声が裏返った自分が恨めしい……。

『いや、カマかけてただけなんだけど……』

『えっ……』

『お前はホンットに面白いな〜』

『……』

分かりきっていたことだが、からかわれていた。ほんとにむかつくな!と、苛つきが顔に出ていたのか蒼が話を変えてくる。

『まぁまぁ、それは置いといてさー、日向はなんの職業にすんの?』

ゲームでのジョブの話を振られたのであらかじめ考えていたことを口にした。

『俺は、ウォーリアかな?だってソロでもパーティー組んでもなにかと使いやすいだろ。そういう蒼はなににすんだよ』

『俺もウォーリアにする予定だ。派生系のジョブがカッコよさそうだからなー』

まぁ確かにRPGは近距離のジョブがカッコよく見えるのだから俺達の決めたジョブはスタンダードなものと言えるだろう。

こうした他愛のない話で夜は更けていった。

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