第17話 ヤバい、ヤバすぎる

 あれから数日が過ぎて、今日は俺が仕事休みだったもんだから、ナオと一日中あちこち出かけてた。なんでって、俺は『ナオ改造計画』なるものを立案したのだ。


 はっきり言うけどさ、コイツ結構可愛いよ。いや、マジで可愛いって。コイツの可愛さを見抜いたオーク、じゃねーや大熊は偉い、見る目がある。あんだけ女の子にキャーキャー言われてるイケメン爽やか佐川男子が、他の女の子には目もくれず、ナオだけに注目してると言うのはある意味凄い事だ。そんなナオに拾われて剰え一緒に暮らしてる俺は、大熊にとってかなり羨ましい存在らしいんだが。


 で、俺は大熊にサービスしてやろうって気になった訳だ。俺はアイツの知らないもっともっと可愛いナオを知ってる。独り占めは良くない。魔王たるもの、皆様の笑顔の為に日々尽力し……まあ、そんな事はいい。とにかく俺はナオをもっと可愛くしてやると心に決めたのだ。


 まず、最初にコンタクトレンズを作りに行った。この瓶底眼鏡がコンタクトになるだけでかなり違う筈だという予想は、まさに会心の一撃クリティカルヒットだった。もうこれだけで当社比250%可愛くなった。


 更に嫌がるナオを無理やり美容院に連れて行き、『前髪』を作って貰った。今まで「お前はインディアンか!」って感じで、中央からパッキリ分けた腰までの長い長い髪を後ろで一つにまとめて三つ編みにしていたのを、顎くらいのラインまでバッサリ切って前髪を作って貰ったら、そりゃーもうメチャクチャ可愛くなって、寧ろ俺がヤバかった。……って何がヤバいんだ?


 んで、その後ナオが殆ど履かないスカートを買いに行った。彩音はよくフリフリワンピースを着てる。でもこいつはいつもジーンズだ、もうこの際デニムでもいいからスカート履いてみろ、って俺のなけなしの給料でスカート買ってやった。試着したらウソみたいに可愛くて、俺相当ヤバい気がしてきた。


 なんかここまで可愛いと、大熊に見せるのがちょっとヤダなぁ、とか……俺何考えてんだ? 大熊にサービスするんじゃなかったっけか?


 で、ヘロヘロに疲れて城に帰った訳なんだが、俺はまだナオを見て居たくて、ナオにそのままのカッコで居て貰ってずっと眺めてはニヤニヤして……どう考えてもただの変態。ヤバい、ヤバすぎる。

 風呂上りのナオがフツーに瓶底眼鏡かけてても、もう可愛くて仕方ねぇ。俺は一体どうなってしまったんだろうか?


 しかし俺は、この日の事が後でナオを大変な事態に陥れる事になるとは、微塵も予想していなかった。

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