トワイライト・タイム・カプセル

夜野せせり

プロローグ

 流れ星の夢をみた。

 

 海に面した小山のうえに星が落ちた。あたしはそれを、どこか遠いところから見ている。

 空は墨でぬりつぶしたみたいに黒い。時おり、灯台のあかりがきらりと瞬くだけ。

 波の音。夜露に濡れた木々のざわめき。

 やがて、小山のてっぺんが銀色にぼうっと光った。その光は、そのまま、ふわんと浮かび上がる。

 さっき落ちた星? ――ううん、ちがう。

 円盤だ。円盤は灯台の真上で、蛍みたいに、ふわん、ふわんって点滅して。

 そして、消えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る