3年間の就職浪人
息子は大学卒業後、すぐに就職活動しませんでした。
その気持ちは、かつての私を思い出すと分からなくもありません。
安易に「働き甲斐の無いサラリーマンになりたくない」と生意気な考えを持ちます。
それでなくとも、息子が卒業した大学は、一流大学とは程遠く、有名な大企業の求人などある訳が無く、名前も知らない企業が少数の求人を貼り出しているだけですから。
夫婦で説得しますが聞く耳を持ちません。
私達はもう彼に任すしかありませんでした。
ある国家資格を取得すべく専門学校に通います。空いた時間にアルバイトで仕事をしました。
結局、3年間試験に合格出来ず、当時まだ現役だった夫は、息子に最後通牒を突きつけます。
「知人に、息子の就職を頼めるのは、今年限りだ」
息子も、自分の力の限界を知り、諦め半分ながらも、面接に臨みます。
御世話になった方には、神妙に丁寧に御礼の言葉を述べた様です。
大企業ではありませんが、中堅の企業です。
入社まで研修を何度か受けるたびに、彼の気持ちが前向きになっていくのを感じ、私達夫婦はホッと胸を撫で下ろしたものです。
本人も、これ迄のアルバイトの現場で、
「“聞く”と“やる”とでは大違い」を体験しています。
彼のなかで積み重なった経験は、これからの仕事への姿勢に活かされるに違いありません。
不安な3年間も、何の無駄も無かった、と確信します。
それでも、“タイミング”も重要な要素です。
そこは、人生の先輩である父親の意見にも耳を傾け、折れてみるのも一考です。
運も作用します。
息子の少しばかりの運の良さは、内心「“名付け”も良かったからよ!」……なんて一人悦に入ってる私です。(エピソード『子供の名付け』より)
今では、後輩も入社し、一人住まいも始め、すっかり会社員の風体です。
長年スクラップした新聞の言葉です。
古田 英明さん(カリスマヘッドハンター)
「天職がどこかで自分を待っている、なんてことはない。出会ったものの中に喜びを見いだし、自分の力で天職にしていく。」
小山薫堂さん(日本の放送作家、脚本家)
「僕は自分を育ててくれる人と仲良くなることを心してきました。若い時は“誰かに助けて欲しい” “僕を育てて下さい”という思いで人と接してきたと思います。」
(2009.6.14.)
森永卓郎さん(日本の評論家、エコノミスト)
「いかに可愛がってもらえるかが、会社員の一番の能力だと思います。人間は隙とか弱み、許容量のある人に会いたくなる。必死で自分のものにしようとする素直な姿も、かわいげ、なのです。だから人は教えたくなり、手を差し伸べたくなる。」
(2007.8.5.)
林 文子さん(日本の実業家。神奈川県横浜市長)
「こうしたら、将来はこうなる。そんな先の計算はし過ぎない方が良い。生きていくうえでの意外な、思いもかけない経験こそ、人生の妙味なのですから。」
(2006.3.29.)
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