ホームはローンで!?

野住

序章「大きな家を買いなさい」

おばあちゃんの悪知恵袋

「――さて守、おばあちゃんに何を聞きたいんだい?」

「ぼく、家族がほしい!」

「ああ、そうかい。家族ねぇ……。守も、そう言ってくれるのかい?」

「え?」

「ほら、おばあちゃん、三丁目の西郷さんと仲がいいだろう?」

「誰……!? 西郷さんって誰!?」

「だから、守も家族が欲しいなら、おばあちゃん、西郷さんと結婚しちゃおうかねぇ」

「!? !? !?」

「そうだ。おばあちゃんが西郷さんとの子どもを産めば、守はお兄ちゃんになれるね。まあ正確には、年下の叔父か叔母になるんだけど」

「おばあちゃん! 子どもは男の人と女の人が結婚しないとできないでしょ!?」

「……これでもおばあちゃんは女だよ」

「えぇ!?」

「そこで驚かれるとは思わなかったけど。おばあちゃん、頑張って子ども産もうかねぇ」

「――――っ!?」

「守は、叔父と叔母――じゃなくて弟と妹、どっちが欲しいかい?」

「おばあちゃん、なんだか気持ち悪いよっ!? 妹が欲しい!!」

「ちゃっかり要求してるところに、おばあちゃんの血を感じるねぇ……」

「ねぇ、おばあちゃん!! 妹ってどうやったらできるの!?」

「妹にこだわるわねぇ。うーん、結婚した相手に妹がいれば義理の妹ができるわ。それか、おばあちゃんが死んだ後に守が、どこか年下の女の子のいる家の養子になるとか……」

「おばあちゃんが死ねば、妹できるの!?」

「えっ」

「でも、おばあちゃんは死なないから、妹できないね?」

「……あ、ああ。そうだねぇ。守が結婚して、妹ができるまでは生きていないとねぇ」

「でも、結婚ってどうすればできるの!?」

「大きな家でも持ってたら、女はいくらでも寄ってくるさ。おばあちゃんもそうだった」

「ふうん。じゃあ、僕、大きな家買うね!」

「ああ、そうだね。大きな家を買えばたくさん家族ができて、きっと賑やかな家になる。それに、守にはマイホームを買っておばあちゃんの介護してもらわないと」

「うん! ぼく、まいほーむ買って、おばあちゃんのか、かい……かい……かいしゃくするねっ!」

「………………」

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