密星

杉原美衣


片側二車線の道路に

車の気配はない


遠目に見えるのは

あの時と変わらないコンビニの光


静まり返った深夜

頭上には変わらず

星が3つ並んでいた


鼻をとおる夜の空気は

冷たい冬の匂いがする


空を見ながらもう一度

胸いっぱいに吸い込んた冬の匂いと一緒に


ふわり

あなたが香った気がした


甘くて強いわがままな香り



思わず口元に小さな笑みが浮かぶ

同時にチクリと胸の奥が痛んだ


まだあなたのかけらが

私の中に残っているのか…


また小さく笑みが浮かび

冷たくなった手を

コートのポケットにしまった



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