植物図鑑

yuki

種は散る

倦怠。渇いた呼気がただの空気となるころ

わたしの花は凍死した。

名前など与えなければよかった。

わたしがその花を名付けたとき

名付けられなかったものがめぐらせた根は

きみに辿りつかず壊死した。


花びらの降る音が響くベランダ。

吸いこんだ息に混じった種が、わたしの喉を震わせる。


言葉のような声が散るころ

きみはまだ実らぬ種が

地面に落ちてぐずぐずに光り輝くのを見ていた。

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