掠奪への侵略 ~対掠奪者殲滅作戦~
カエデ達は、あれから数時間の時間をかけて、デウスクエスの修復作業を完了させた。塗装の完了したデウスクエスを見上げて、カエデは作業用のゴーグルを外す。
「やっと完了ね。……手間がかかるわホントに……」
熾天使やクラマ達も一仕事を終え、完了したデウスクエスをカエデと共に見上げている。とその時、ふとガブリエルがカエデに疑問を投げかけた。
「ところで一つ……なぜ塗装を塗る必要があったんだい? 最悪塗装を塗る必要なんてなかったんじゃ……」
「そういう怠りが、致命的な失敗を招くのよ。いい? このデウスクエスに塗布されている塗装には、放射能などの有害・有毒物質を、表面に付着させない特殊な成分が含まれていて……」
いきなり、デウスクエスに塗布されている塗料一つに対して、延々と語り出すカエデ。唐突に、熱く語り出したカエデを目の当たりにした一同は、ただ言葉を失って聞き入っていた。……言っている事の、おおよそ九割方はサッパリ分かっていない状態なのだが。
半ば茫然とした状態で、ただ聞き入っていた熾天使達の袖を、ラファエルが次々に引っ張る。
「ねぇ……お姉ちゃん、何って言ってるの?」
「た、たぶん、あの手に持ってる物について、お喋りしてるんじゃないかな~……?」
「……? ふ~ん?」
ミカエルが言っている事を、ラファエルは半分だけ分かったような、もう半分は分からなかったような顔をして、延々と熱く語るカエデを再びジッと見つめる。
……と、その最中。屋敷の方角からレイジーが、一人で歩いてやって来た。カエデの様子を、少し離れた所でしばらく見ていたのか、少しニヤニヤしながら口を開く。
「おう、その様子だともう終わったみたいだな。作戦に参加するメンバーは、全員集めてある。後はお前達だけだぜ?」
「ニヤニヤしながら私の顔を見るのは止めなさい」
「オウフッ!?」
ニヤニヤしながら話しかけられた事が、よっぽど気にくわなかったのか、顔を合わせて数秒で、レイジーの
目にもとまらぬ早業を避けそこなったレイジーは、途端に表情と顔色を変えて、その場に
その後、動かなくなったレイジーを前にして、カエデは肩を回した後、レイジーの胴に手をかける。やはり、ついこの間まで現役の軍人だっただけあって、カエデは成人男性であるレイジーを、何の苦も無く担ぎ上げてみせた。
まさか女性が、男性を担ぎ上げると、思ってもみなかったウリエル達は、驚きのあまり、開いた口が塞がらない。
「お、お姉ちゃんすごい……」
「男の僕ですら、ミカエルが抱えられるかどうか怪s……イタッ!? ちょ、え!? 何でウリエルに殴られなくちゃいけないの!?」
「ガブリエルは、全く知らない事かもしれないけど、実は私の方が体重が軽いんだよ~。知ってた~?」
「そこまで細かく知ってるわけないじゃん!? ……え? これって全部僕が悪い奴なの? ……何で誰も弁護してくれないの!?」
「同じ事を口走ったら、今度は燃やす」と、言葉を行動で代弁するかのように、ウリエルの右手には、自分の能力で作った炎が握られていた。ウリエルからの無言の威圧に気圧されて、ガブリエルは下手に喋らなくなる。
一方でスサノオは、軽々と何の苦も無く、レイジーを担ぎ上げたカエデを見て、ある種の恐れを抱いていた。
「す、すげぇな……あの姉ちゃん……。別の意味で俺達の姉ちゃんより怖いかもしれねぇぞ……」
「女性を怒らせると、この世のどんな物よりも恐ろしいと言います。それと、見境なく女性を怒らせるスサノオ様に、そもそもの問題があるかと……」
「クシナダ様に、一体何と申せばよいのやら……」と言って、クラマは頭に手をあて、この上なく憂いに満ちた溜息を吐く。どれだけ憂いに満ちた溜息を吐いても、当の本人は知らん顔だが。
「あ? クシナダがどうかしたってのか?」
「……クシナダ様の名前しか聞こえてないようですね」
「……?」
キョトンとした顔で、クラマをジッと見つめるスサノオ。その隣では、同じようにツクヨミも、頭を抱えたまま、無言で首を横に振っている。
ツクヨミまでもが、首を横に振り出した為に、なおさら分からなくなったスサノオが、深く掘り下げようとした時。カエデが後ろを振り向き、熾天使と日本神達に、声をかけてきた。
「あ~……屋敷ってどっちの方向だっけ?」
一方アテナ達は、レイジーに指示されるがまま、再び屋敷の中へと招集されていた。そこには、先程はいなかったメンバー達の姿もある。
「なぜ私まで駆り出されなくてはならんのだ……」
「まぁまぁ、ハデスの伯父様。レイジーの言う事に、間違いはないんですから、ここはグッと堪えて……。それにオルトロスならまだしも、ケルベロスは伯父様の言う事ならよく聞くと、ペルセポネさんが言ってたもので……」
ハデスにも、レイジーがダメもとで参加を要請してみたところ、ペルセポネの説得もあって、まさかの参加を果たした。説得というよりは、妻に言われるがまま……と言った方が正しいかもしれないが。
今はペルセポネからミネルヴァに、説得役をバトンタッチしている状態だ。『番犬 ケルベロス』を完全に扱うには、彼の協力が必要不可欠なのだから。ペルセポネやタナトスでも不可能ではないが、たまに言う事を聞かない時があるという。
ミネルヴァが、躍起になってハデスを説得をしていると、そこに金色の髭と髪をした、強面の男性が近づいてくる。その隣にはロキやジークフリート、そしてブリュンヒルデの姿もあった。
その一行に気付いたアテナが、ブリュンヒルデに声をかける。
「あら? アンタ達って、全員知り合いだったの?」
「えぇ、私はオーディンの娘なの。だからこの金髪の人『トール』とは伯父さんと姪にあたるのよ」
「……つまり私は、義理の甥の様な立場にある」
「まぁ、大体はそう言うことじゃな! ワシが『ゲーデルマン=トール』じゃ。名前ぐらいはレイジーの奴から聞いておるじゃろ。初めまして、アテナちゃん……だっけか?」
「え、なんで私の名前を知ってるのよ……」
そこまで言った時、アテナはなぜかトールの顔を見て、自分の父親であるゼウスの顔と、どことなく似ている事に気がつく。そしてアテナはポンと手を打ち、ある話を思い出した。
「あ、この前に父さんが言ってた、『自分に似ている新しい知り合い』って……!!」
「そうそう、ワシじゃよ。ぜ~んぶ、ゼウスから聞いておる」
トールは満足げに頷くと、そこに招集されている面々を、物珍しそうな目でなめる様に見回していく。そんな様子を見ていたロキが、トールを咎めた。
「トール……あまりそんな様子で、他の神々を見てはダメだろ?」
「おおっと、すまんすまん。オーディンの奴に、色んな神を見て、自分の見聞を広めてこいと言われたもんでの……」
「だからってそんな物の見方は、色々と失礼だと思うんだが……」と、舐める様に見回しながら答えるトールに、ほとほと呆れたロキは頭を抱える。
と、その時。トールの目がある一点で停止した。穴が開くのかと思う程、ある一点を注視している。頭を抱えていたロキが、その異変に気付き、その視線の先を追ってみる。
アテナやジークフリート、ブリュンヒルデも、ロキの仕草につられてその視線を追ってみた。
……その先には、頑強な鎧に身を包む、トールにも負けず劣らずの厳つい顔をした男がいる。おまけに彼にも負けない、筋骨隆々とした体格をしていた。
その人物を見つめたまま、何も言わなかったトールが唐突に口を開いた。
「ワシが、あと数百年若かったら……。喜んであの男に、手合わせを願いたかったんじゃがのぉ……やはり若さには勝てまいな。……ところで、あの男は誰じゃ?」
「……『グラディネート=アレス』と言って、私と同じオリュンポス十二神のメンバーよ。……一番私が気に入らない奴だけどね」
アテナが名前を口走った瞬間、アレスにも聞こえていたのか、周囲をキョロキョロと見回し始める。そんな姿を見て、アテナは慌てて背を向けた。背を向けた彼女の目に、真っ先に飛び込んできたのは、先程の穴が開くほど見つめていた表情とは真逆の、トールが見せる表情であった。
今度は何事かと、アテナが再び彼の視線の先を追いかけると……。その先には、何とも艶かしい服に身を包んだ、顔隠しをしている女性が、壁に背を預けた状態で佇んでいた。
アテナは、その女に対して懐疑の念を抱いたのに対し、トールは完全に魅了されてしまっている様子であった。その姿はさながら、洗脳されているような様子である。
「あ、あれ……? あんな女の人、私は知らないわよ?」
「そんな事どうだっていいじゃろ……。いやぁ、立派な娘じゃn……フゴッ!?」
余りにも、だらしがない親友の姿を見かねたロキが、トールの頭上に手刀を振り下ろす。突然自分の頭を襲った衝撃に、トールは頭を押さえてロキを怒鳴りつけた。
「なんじゃいきなり!! 確かにワシは妻子持ちじゃが、見とれる事ぐらいは罪ではないじゃろ!?」
「……トールの言う通り、確かに見とれる事ぐらいは、別に悪い事じゃないけど……その見とれる相手に問題があるよ」
そう言ったロキは、白い紙で顔を覆い隠している女性を、ジッと何も言わずに凝視する。そして彼は、閉ざしていた口を徐に開いた。
「彼女は
「なんじゃロキ。お前はあの女性を知っているのか? なら話がはy……」
「一応、言っておくけど……トール。彼女は神様どころか人間じゃない。さっき言ったばかりだろう? 彼女が化けるのは、女性限定だって」
ロキは彼の額に、デコピンを一発喰らわせる。ロキが言った言葉の真意をやっと汲み取ったトールは、額に手を当てたまま、困惑した表情でロキに尋ねる。
「そ、それなら彼女は一体……何者なんじゃ?」
「……彼女は『九尾の金毛狐』と言って、三千年もの月日をかけて、
「や、やたら詳しいわね……アンタ。そこまでの要注意人物なの?」
アテナの言葉に、一息挟んだロキは、更に言葉を続けた。
「当然さ。彼女もこの作戦に参加する、重要なメンバーの一人だからね。どんな経歴なのかも、ちゃんと調べておいたんだ。それに……僕個人からしてみれば、彼女は同業者兼ライバルのようなものだからね」
そう言った後、ロキが彼女のいた場所に、もう一度目を向けると……そこに彼女の姿は無かった。どこへ行ったのかとロキが周囲を見渡そうとした時、彼の耳元でいきなり、古風な言葉遣いをする女性の声がする。
左右をちらと見ると、トールやアテナ達が驚いた顔をしている。そして、いきなり香り始めた、嗅いだ者を魅了するかのような甘美な匂い。この匂いには、流石のロキも危機感を覚えた。
「汝は童の事を、本当によく知っておるな。それと、汝から童と同じ匂いがする。……童の名は『九尾 御沙狐』――――似た者同士、仲良くやろうぞ?」
フフフ……と蚊が鳴くよりも、ずっと細い声音で笑った彼女は、ロキの耳元から口を遠ざけると、踵を返して出口へと歩を進め始める。そんなオサキの後ろ姿を見て、ロキは無意識の内に笑ってしまった。
「……本当に面白いな
彼の声が聞こえていたのか、オサキは九つの尾を振った後、部屋の外へと出るべく扉に手をかけようとした。すると、彼女が手をかけるよりも先に、扉が開いてしまう。
「……あ」
「おや、確か……レイジの知り合いとかいう小娘かえ? ……なぜにレイジを担いでおるんじゃ?」
「これは……まぁ、色々あったのよ。十中八九はコイツが悪いんだけどね」
アハハ……と苦笑いしつつ、カエデが熾天使達を連れて部屋に入ってくる。形はどうであれ、いきなりの登場に、オサキも退室を諦めて部屋に留まる。部屋に入ったカエデは、担いでいたレイジーを床に叩き付けるように下ろした。
「ヘブァ!?」
「さぁ、確かに私はここまで運んでやったわ。ここから先はアンタの仕事よ!」
床に叩き付けられた衝撃で、正気を取り戻したレイジーは、痛みを訴える体の様々な所を押さえて立ち上がる。
「……あ? ここはどこだ……? 俺はカエデに腹パンされて、それから……」
「しっかりしなさい。アンタが指揮官でしょうが」
「イテッ……」
一発だけカエデが、レイジーの後頭部を叩いた拍子に、レイジーがつんのめるような体勢で、2~3歩だけ前に進んだ。進んだ後、いきなり顔を上げて思い出したような表情を浮かべる。
「そうだったそうだった……すまねぇな。待たせちまって」
そう言って、ゴホンと咳払いをしたレイジーは、皆の視線を一身に受けながら、大きく息を吸い込んだ。
「これより、対掠奪者殲滅作戦を実行する! 皆久々の運動だ。気張ってくれよ!」
作戦内容について、レイジーからの大まかな説明が為された後、部隊が大きく四つに分けられた。
まずこの作戦の主体であり、陽動係でもある、『猛毒散布班』だ。班員はヘラクレスとヒュドラ、スサノオとオロチ。そして、ヘルとヨルムンガンドに、飛び入りで参加させられたハデスと、ペルセポネ達が連れてきたケルベロス。次にバジリスクと、コカトリスの二匹を連れたラファエル。そして最後に九尾のオサキだ。
有毒物質に対して、耐性を持つ掠奪者は、『残党殲滅班』によって駆逐される手はずとなっている。班員は、アテナやアレス、ジークフリートやブリュンヒルデ、タナトスやトール等々、実に様々な者達が集められている。
そして最後に、万が一の時に備え、巨大化した掠奪者の対応策として、レイジーとカエデ。そしてヒュドラとオロチによる班だ。
……尤もな話、レイジーの班を使えば、どのような掠奪者が出現したとしても、想定しうる全てに対応ができる。しかし、それを実行すると……アテナや大部分の連中から、猛反発が起こる事を、レイジーはこれまでの経験から知っていた為、あえてそうする事を止めた。
「……と、まぁ。こんな所だ。作戦の進行は、現場の判断に任せる。俺は……少しだけ指揮ではなく、単独行動がしたい」
「はぁ!? アンタ何言ってんのよ!? アンタが私達の指揮官なんでしょ!?」
「その点については問題ない。アモンとロキ、そしてヘルメスの三人に、俺の変わりを頼んである。そろそろ作戦実行だ。俺はゲートを作って、先に現場に行ってくる。……あ、それとついでに」
そう言ったレイジーは、アテナとミネルヴァを交互に見た後、パチンと指を鳴らした。すると、二人の姿が光の球体に変化し、一つに合わさる。合体したアテナを見て、無言でうなずいた後、レイジーは部屋を飛び出してしまった。
「あ、ちょっと待……」
「言っても無駄よ。……それにレイジーは、そう簡単に死ぬような人じゃないわ。アテナ、今はレイジーを信じましょう?」
「え、えぇ……」
ブリュンヒルデに制止され、彼の後を追いかける事を止めたアテナ。しかし、ブリュンヒルデもこの時、気が付いていない事が一つだけあった。――――彼女達のいる部屋の人数が、レイジーと『もう一人』だけ減っている事に。
(アイツ等と
廊下を足早に歩くレイジー。彼の頭の中には、掠奪者達に対する『もう一つの可能性』が過っていた。その可能性が、現実になってしまう前に、レイジーは自分自身の力で何としてでも、アラストゥムを取り戻す必要があった。
もしアラストゥムに何かあった時に、カエデを巻き込む訳にはいかない。それだけは、何としてでも避けなくてはならない事であった。
……しかし。それはどうも、叶わない事だと、レイジーは悟る。
「なんでもお見通し……流石は俺の元相棒だな」
「当然でしょ。元相棒の考えてる事が、全然分からない程、私はバカじゃないわよ……何回も言わせないで」
レイジーが後ろを振り向くと、そこには壁にもたれた状態で、腕を組んで立つカエデの姿があった。言葉を言い終えた後、壁から背を離して、刺すような視線をレイジーに浴びせる。
別にカエデが、レイジーを睨んでいるわけではないが、その目線はとても鋭く尖った物であった。
「これまで、アンタが持ってるグリモワールとかいう本の力を、嫌と言うほど見せてもらったわ。……でもアンタ一人で、あの化物の相手はできないわよ」
「そいつはどうかな……俺にはバアルやアモン達もいる。いざって時に手を貸してくれる奴は、たくさんいるんだぜ? それにある程度は大丈夫だよ。なんたってグリモワールだけでも、相当な戦力になるんだからな。単独で行動したって、何も支障はねぇよ」
「……思い上がった考えばかりしてると、後々痛い目を見るわよ」と、最後に言い残して踵を返し、皆が集まっている部屋へと戻るカエデ。レイジーはそんな彼女の後ろ姿と、彼女が背を向ける直前に見せた表情を見ていた。
レイジーは全て知っていた。だからこそ、わざと思い上がったような言い方をしたのだ。……自分が撒いた種に、カエデを巻き込みたくないが為に。
「……すまねぇな。どうしても、お前を巻き込む訳にはいかねぇんだよ」
そう呟いて、部屋へと帰るカエデを、静かに見送るレイジーは、ソッと顔を伏せる。すると自分の後ろに、巨大な本が床から生えてくるように出現する。しばらくの間を置いた後、レイジーは開かれた白い光を放つページの中へと、自分の姿を消した。
メンバーが集う部屋へと、静かに扉を開けて戻ってきたカエデ。そこではヘルメスが、何やら慌ただしく全員の数を数えていた。これはマズいと思ったカエデは、何食わぬ顔でメンバー達の中に紛れ込む。
「え~っと、ヘラクレス君にオサキさん。ラファエルちゃんに……あれ、カエデさん! 今までどこに行ってたんですか?」
「ちょ、ちょっとトイレに行ってたのよ。悪かったわね。まさか人数を数えてるなんて思わなかったから……」
「いえ、それは別に構わないんですが……あの二人はどこへ行ったのやら。あ、カエデさん。トイレの為に外に出た時、誰かを見ませんでしたか?」
「い、いや……誰も見てないわよ? 誰がいなくなったのよ」
一瞬だけ、自分がトイレではなく、別の用件の為に退室したのが、ヘルメスにバレたのかと思ったが、何とか平静を装って
そして、今度は逆にカエデが問うと、部屋の隅々までキョロキョロと見回した後、徐にいなくなった者達の名を呟いた。
「……バエルちゃんとアモンさんだよ。あの人達、どこへ行ったんだろ……」
「バエルにアモン……!? ア、アイツ……。単独行動なんて、最初からする気が無かったのね……!!」
レイジーが嘘を吐いた事に、この時初めて気付いたカエデは、怒り混じりに地団駄を踏む。だが、もう後の祭り。レイジーは既に、バエルとアモンをグリモワールに回収して、出発してしまっているのだから……。
「ほんっとに……アイツは目を離したら、何をするか分かったモンじゃないんだから!!」
そう言って叫んだカエデは、ヘルメスの制止を振り切って、部屋の外へと飛び出してしまった……。
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