帯広空港

@sarirari

第1話

「ねぇパパ、ねぇパパったら」


ありさは日曜の朝から元気である。

子どもというのは学校が休みの日は早起きと相場は決まっている。

ありさというのは小学生三年生になる私の娘。しかし私は娘のように小学生ではないので、

日曜というのは少しゆっくり寝ていたいという願いがある。


「う~ん、もう少し寝てていいかい」


昨日の夜は撮り溜めた録画ビデオをママと見ていたのだ。

ママというのは娘のママであって私のママではないが子どもが出来てからはこう呼んでしまうことが多い。


「今日はドライブに行くって約束したよ」


娘はそう言って布団を次々と片付ける。 ああ、そういえば何日か前にパソコンで大事な仕事をしている最中に、

あまりにもしつこく仕事の邪魔をする娘を【ドライブ】という単語で静かにさせたことを思い出した。

娘は赤ちゃんの時から夜鳴きのたびにドライブに連れ出していたせいか、

車に乗って移動するだけなのにほんとうに楽しそうにするのである。

そもそも娘がなぜ仕事の邪魔をするのかを説明すると、娘は私があまり仕事をしていないと思っているのである。

ネットショップを経営している私は家でパソコンの前に向かっていることが多い。

それが娘には家でずっと座ってパソコンで遊んでいるように見えるのだ。

そしてタイミングが悪いことに、娘がパソコンを覗きにくる時はなぜか私が休憩でネットサーフィンなどをしている時が多く、

それを見るたびに『パパは仕事をしていない』という自分の意見が確信に変わっていったのだと推測している。


「わかった、わかった、わかったよ」


すでに布団を取られた私はそう言いながらゆっくりとまだまだ目覚めていない身体を動かした。

動き出したと同時に娘がカーテンをあける。眩しい日差しが差し込み一気に身体が目覚めていくのがわかる。

目覚めてくると周囲の様子がだんだんわかってくるもので、その時やっとママが朝ごはんの支度をしている匂いを感じた。。


「ママも起きてたんだね」娘に言うと 「ママもありさが起こした」とニッコリ。


ママも昨日は私と一緒にテレビを見て遅くまで起きていたのに何時に起こされたんだろうか。



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