296区  【城華大付属高校】その3

【川上 美紀】かわかみ みき

★登場回81区★

宮本加奈子、桐原亜純の同級生。


高校三年間、県駅伝及び都大路を走ることは一度もなかった。

ただ、練習も真面目にこなし、後輩の面倒見もよく部員からの信頼は大いにあった。


川上自身も走ることは大好きで、高校卒業後、地元のクラブチームで男性と一緒に練習しながら、地域の駅伝などにも男性に混じって積極的に参加している。男性に混じって駅伝に出場し、区間3位あたりで走るので、地域の市民ランナーの間ではすっかり有名人である。


その縁で、市民ランナーの男性と結婚。今では夫婦でロードレースなどにも参加している。


【岡崎 澪】おかざき みお

★初登場回 69区★

世間では谷間世代と言われている代のキャプテン。

実際に、この世代で1,2,5区の主要区間を走った選手はいない。


岡崎澪は、1、3年時は補員に回り、2年時に県駅伝・都大路とも3区を走ったのみ。

同世代の西真奈美は3年時に県駅伝・都大路で4区を走ったが1,2年時はメンバー入りすらしておらず、同じく同世代の三輪さくらは、1,2年時はメンバー入りできず3年時にどうにか補員に入った。


ただ、この世代も最初から谷間の世代だったわけではない。


むしろ、最初は全国でもトップクラスだった西真奈美が入部し、毎年のごとく山口県内の上位に位置していた中学生も入部していた。だが、西真奈美が早々に故障。不運にもこの世代の上位組が相次いで退部し、結果として谷間の世代と呼ばれることに……。


岡崎澪自身について語るなら、彼女にも城華大陸上部から推薦が来るも、毎年付属高校から最低1名を推薦で取るという内部の事情と、谷間の世代残りの2人は大学で競技をする気は全くなく、消去法で岡崎澪しか残っていなかったのも事実である。


大学陸上部の監督としても、内情的に仕方のない推薦であり、彼女の走力から考えて1年経ったのち、マネージャーへ転向させる気でいたが、この推薦が彼女の運命を変えることとなる。


城華大付属と城華大は同じグランドを使っており、城華大に推薦で進学するものは高3の冬休みが明ければ大学の練習に参加することが恒例となっている。岡崎澪も、その例にもれず練習に参加するが、2週間で故障。フォーム改善のためと、少しでも有酸素運動をするために大学のコーチに教わりながら、競歩を取り入れたリハビリをしていたが、これがばっちりとはまってしまう。


大学の監督から入部と同時に競歩転向を命じられ、最初は走ることへのこだわりもあり、あまり乗り気ではなかったが、中四国学生選手権でいきなりの2位。1万m競歩に出るたびに分単位で記録を短縮し、1年時のインカレで6位入賞を果たす。


城華大付属でレギュラーと補員を行ったり来たりだった、いわば1.5軍程度のレベルだったのに、いきなり全国入賞してしまったことで、岡崎澪自身の意識も変わり、以後競歩を専門種目として大学4年間活躍。


卒業後、実業団へ進み日本のトップクラスとして7年間競技を続けたのち、引退。


引退後は競歩の指導者として特定の学校にこだわらず、全国各地の学校に出張しては競歩のボトムアップに努めている。ちなみに、「岡崎澪の競歩技術理論」と「正しく歩いて楽しく痩せる~岡崎澪のダイエット術~」と言う本を出し、競技者、一般市民への売り上げもなかなか好調。彼女が競歩の歩き方を教える動画もなかなかの再生数をたたき出している。


【西 真奈美】にし まなみ

★初登場回 186区★

中学時代の成績、広島県からの進学と入学当時はかなり騒がれた。


本人もレギュラーを勝ち取りエースとして活躍してみせると思っていたが、早くに故障にしていまい、大きな挫折を味わう。


練習すらまともにできない上に、自分よりもはるかに走れる同級生の退部などで大分いら立つことも多く、一時期部内でも孤立してしまうことも。


対外的には、故障でレースに出ていないと言うことになっており、それも半分は事実だが、残りの半分は彼女の部活での態度のせいでもある……。


そんな彼女の態度に一番怒りをぶつけたのが岡崎澪である。寮の部屋でお互いの意見をぶつけ合ううちに、胸ぐらをつかみ合う大喧嘩へと発展。三輪なずなが止めに入り、どうにか事なきをえる。その後3人で本音を語り合い、すべてを吐き出したおかげで3人の結束が強固となる。


喧嘩騒動のあとは、西真奈美の部活での態度も劇的に変わり、後輩の面倒見もよくなる。そのおかげで、3年時、4区に選ばれた時の後輩からの応援と支持はすごく、都大路でも4区を走ることが決まると、後輩達が進んで応援に向かうほどであった。


彼女自身は「自分の体が限界なのは自分が一番分かる」と高校で陸上をキッパリと辞め、一年間公務員学校に通ったのち地元の広島県警へ奉職。「いつか、当時のメンバー誰でもいいから私の手で逮捕するのが夢」と、OG会の度に鉄板のネタをかましている。


【三輪 さくら】みわ さくら

★初登場回 69区★

谷間世代と言われる代3人のうちの1人。


中学の時はバレー部に所属。冬の間だけ学校中の足の速い人を集めて作る臨時駅伝部のメンバーとして駅伝に参加し、その結果城華大付属の推薦を貰う。正直、学力的に県立高校は難しいけど、私立だと親に負担をかけてしまうと悩んでいた所に推薦が来たので、それに飛びついたのが城華大付属に来た一番の理由。(陸上部にいる限りは学費がタダであり、受験勉強もせずに済むので)


中学での臨時駅伝部程度の練習をイメージしていたら、城華大付属の練習量はその何倍もあって、入部早々心を折られる。それでも、同世代の退部者が多い中で最後までやり通したのは、親へ迷惑をかけたくないという気持ちと本人の天性の負けず嫌いのおかげ。


高校を卒業し、就職と同時に走ることからは足を洗ったのだが、就職した6年後に、職場のみんなでフルマラソンに参加して全員完走しようと言う企画が持ち上がり、元長距離ランナーと言うことで無理やりメンバー入りさせられてしまう。


ここでも天性の負けず嫌いが発揮され、出るからには完走だけはしたいと、シューズを買い毎日ジョグをする根性をみせる。


その時、誰かにやらされるのではなく、自分の意志で走るのは楽しいのだと気付き、趣味は「走ること」と、胸を張って言えるくらいには陸上にかかわるようになる。ちなみに、マラソンは無事に完走し、その後は自ら進んで全国の色々なマラソンにも参加するようになり、現在の生涯ベストは2時間56分10秒。今も市民ランナーとして毎日走る日々である。

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