238区 ・・・・・

あれからどれくらい経ったのだろうか。




永野先生の電話でショックを受けた私は、その場に倒れ大泣きをしてしまった。


偶然仕事が休みだった父が、「何かあったのか?」と部屋へ入って来たのを覚えている。




その後どうにか落ち着き、次の日両親に付き添われ晴美の通夜へと出かけた。




晴美の亡骸には綺麗に化粧が施され、生まれて初めて晴美を美しいと思った。



そう思った瞬間、私の心の中で何かが音もなく弾け、私はその場で泣き崩れてしまった。後から来た由香里さんと永野先生が私を抱え、先に焼香を済ませて車の中で待っていた両親の所まで運んでくれた。




その時も、私はずっと泣き崩れたままだった。




「澤野。自分の気持ちが落ち着くまで部活は休んで良いから。それと熊本合宿の件は私から舞衣子に断りの電話を入れておくな」


私を両親の所へと届けてくれた永野先生が、静かにそう言ってくれた。

 





 


それを最後に、私は部活との……。

いや、日常との係わりを持つのを辞めてしまった。

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