03. Again a Letter from Vivian to Him



親愛なるアナトール


 もし、とつぜん神様か天使が舞い降りてきて、一つだけ願いを叶えてやると仰ってくれたとすれば、私はあなたの無事をお願いするでしょう。

 私の町でも、終戦の噂を聞きました。

 ああ、アナトール、あなたは無事なのですね。

 どうか最後まで気をつけて。帰りの船で疫病が蔓延して、せっかく生き延びた命を失ってしまう者もいると聞いたことがあります。


 そして、あなたが私のもとへ帰ってきてくれたら……。

 その夢だけで、私は楽園よりも素晴らしいところに辿り着いたような気がしています。どうか、どうか、最後まで気をつけて。

 一日も早く、私のもとへ帰ってきてください。


 ──あなたを抱きしめながら。ヴィヴィアン


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る