二人ぼっちの氷の姫君
炭酸。
序章
その昔、人間と精霊の間に大きな戦争が起きた。
『霊戦』と呼ばれ、人間側は人数の多さと科学力を武器に、精霊側は人間では持ち得ない莫大な霊力を武器に争った。
戦争は圧倒的に精霊側有利に進み、敗色濃厚だった人間たちは一つの兵器を生み出した。
『魔石』
科学で作り出されたそれは膨大な魔力によって精霊たちを苦しめた。
双方の激しい争いはそれからもしばらく続いた、当初精霊側圧倒的有利だった状況は魔石の登場により、五分五分の状態になっていた。
しかし、そこが両者にとっての限界だった。人間側、精霊側、双方ともに疲弊しこれ以上戦える戦力は残っていなかったのだ。
両者は同盟を結び、共存の道を歩むこととなった。
人間は精霊からもたらされた『精霊術』の力により今まで以上に便利な生活をおくることとなり、精霊は人間の持っていた科学力の恩恵を受け、科学と霊力を融合させた『人工精霊』の開発へと着手した。
それから百年近くの時が経ち、概ね平和に見える世の中、少年と少女が生を受けた。
一人は氷に包まれて生まれ、体内に精霊を宿した少年。
一人は人工精霊という存在に最も近い場所で生まれ育った少女。
そんな二人の存在が大きく世界を動かしていく。
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