第8話 真夜中の現状把握

倒した3匹の魔物退治が終わって、扉の向こう側を見ると



浮いているコンパクトの後ろに



大きな龍が閉じ込められた巨大な氷塊が浮いている




えー



「王妃様、見事なお手際でございます。その者の身体能力が馴染めば、元の身体よりも動きやすくなるかと思われます」


「か、鏡。その氷の塊は何?」


「はい、王妃様。この魔物は一番最後尾にいた魔物でございます。身体が大きく長いので、扉の前で見張りをする予定だったのではないかと思われます」



鏡はそう言って、氷にコツンと体当たり



そして中の龍と共にくだけ散る氷塊



破片は照明の優しい光を反射し、キラキラと舞い落ちる



・・なんだか前に見たダイヤモンドダストを思い出すわね




「王妃様。魔物たちの気配が2.3隊近付いておりますが、いかがいたしますか?」


「もう少し慣らしたい気分ではあるのだけれど、この者の身体が着いてきてくれないのよね。さっきの一閃で右足の筋繊維が何本か切れてしまったし」


もちろん治し終わっているけれど


「王妃様、それは仕方のないことかと。その物は、ある程度鍛えてあるとは言え異世界人。十中八九、平和な世界からやってきたのでしょう。そんな身体で、元暗部の王妃様の動きに反応できるとは到底思えません」



そうなのよね、気配察知してからの反応速度といい、回避するための脚運びといい、この者の基本能力が大元になるせいか全体的に鈍いのよね



「一応、王妃様がお目覚めになる前に、速度強化と筋力強化の魔法は掛けておいたのですが・・」


これで強化状態なの!!??


「な、なんだか先が思いやられるわね・・」



「はい、王妃様・・」



二人?してため息をつく





「ねえ、鏡」


「はい、王妃様。何でございましょう?」



「ふと思ったけれど、この倒した魔物の経験値はこの者に行くのかしら?だとしたら・・」


期待を込めて鏡を見る


夜の間だけでも、この私が雑魚退治していれば、この者の強さはうなぎ登り・・ちょっと頑張っちゃおうかしら


「王妃様。誠に言いにくいのですが・・ご自分を鑑定していただけますでしょうか」



鏡が申し訳なさそうに言う。非常に嫌な予感がするけれど・・


鑑定、対象は私



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いせかいのおうひ(ゆうしゃ)

せいべつ:おんな(おとこ)

レベル:953(-942)

HP:5516(-5401)

MP:4955(-4932)

ーーーーーーーーーーーー


E ぬののねまき



ーーーーーーーーーーーー

ちから:2540(ー2489)

すばやさ:2550(-2498)

みのまもり:1363(-1337)

かしこさ:2204(-2179)

うんのよさ:45(+35)

さいだいHP:5516(-5401)

さいだいMP:4960(-4932)

こうげき力:2540(-2489)

しゅび力:1365(-1337)

Ex:4320

ーーーーーーーーーーーー

じょうたい:ひょうい

ーーーーーーーーーーーー


えー



見たこともない表記の鑑定結果、表示されない私の名前、とんでもない数字のマイナス補正・・


これが異世界の鑑定表記なのかしら

じょうたいは分かる。今の私はこの者に憑依しているのだから・・

ステータスがマイナスなのは、動かす身体がこの者だからかもしれないわね


Exは良く分からないけれど・・


「結果の中のExは、この世界での経験値でございます。王妃様」


「要するに、私が倒したことになっているのね?この者自体には、全く意味のない経験だと・・」


「そうでございます、王妃様」



まったく、どうしろって言うのよ・・



「分かりました。鏡、ひとまずあのボロ宿に戻ります。ゲートを」


「はい、王妃様」






こうして、初めての異世界戦闘は



ギリギリ及第点の戦闘結果と



最悪の現状を突きつけられて終わった





はぁ、頭が重いわね。髪の毛短くなったのに・・

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