欠点さがし

きたひなこ

第1話 欠点さがし ~捻くれた私と完璧な彼~

 

 私の名前は『匿名希望』。驚くなかれ、これが私の本名です。


 ちなみに下の名は『希望』と書いて『ノゾミ』と読みます。世間にはキラキラネームなるものがありますが、私の場合は苗字からしてイカれてやがるので、下の名を何と命名しようとも虐めの標的となってしまう深き業を背負っているのです。ああ、しかしながらこの苗字にこの名は罪が深すぎると私は思います。


 物心付いた頃、私は両親に自分の名のことを涙ながらに訴えました。



「うえーん、うえーーん。パパリン、ママリン。私は自分の名前が死ぬほど嫌です。学校でみんなから虐めの標的にされるのです。テストの答案に本名を書いても先生から巫山戯ふざけるなと0点にされるのです。ラジオに本名でメールを送っても私の本名が公共の電波で呼ばれることは絶対に無いのです。『2ちゃんねる』とか云うインターネットの匿名掲示板で、パソコン越しにしかコミュニケーションの取れない社会不適合者共に相談したところ『両親が離婚をすれば苗字も変わるよwwwww』と貴重なご意見を頂きました。――ああ、だからさっさと離婚しろよ、このバカリン、アホリン!」、と。



 するとバカリンはこう言いました。



「ああ、ごめんな匿名希望。パパリンの苗字が『匿名』で本当にごめんなぁ、匿名希望。せめてパパリンの苗字が『特命』だったら『係長』にしたんだけどなぁ、匿名希望。あっ、それからテストの答案を見たけれど名前だけ書いても解答欄が白紙ならそりゃあ0点だよぉ、匿名希望」



 愛する実の娘の名前をわざわざフルネームで呼ぶことに先ず私はイラッとします。『匿名』だろうが『特命』だろうがこの男は自身の苗字に関係無く娘の名前で遊ぶ気満々なのだと幼い私は理解しました。――あと後半は何を言っているのかちょっと理解に苦しみます。



 続いてアホリンがこう口にします。



「ごめんなさいね、匿名希望。の苗字が『匿名』で本当にごめんなさい。でもママリンの旧姓は『援助』だけど大丈夫、匿名希望? 殆どのSNSで禁止ワードに引っかかっちゃうけどそれでも良いの、匿名希望? あっ、それからラジオに送ったっていうメールをママリンこっそり読んだけれど内容がビックリするくらい面白くないわよ、匿名希望。あれでは絶対に読まれることはないわ、匿名希望」



 愛する実の夫を害虫ゴキブリ呼ばわりすることに先ず私はドン引きします。そしてこの女も実の娘の名前をわざわざフルネームで呼ぶのですね、イライラします。アホリンの旧姓を知った幼い私はこの世界線にはどこにも逃げ場が無いことを理解しました。――あと、加えて後半は何を言っているのかちょっと理解に苦しみます。


 最終的な結論として「うーん、自分の名前が死ぬほど嫌ならばいっそのこと一度死んでみれば良いんじゃないかなぁ?」と実の両親から言い渡された私は「ああ、こいつらに期待しても無駄なんだ。一人で強く生きていこう」と心に強く決めました。私の将来の夢はこの両親ごみどもの墓に『陰毛』や『媚肉』などの恥ずかしい単語をとして刻んでやることです。


 そして、このような汚れた環境下でたくましく育った私は高校生になってグレにグレてしまい。大変な捻くれ者となってしまいました。



 さあ、日陰で生きる者共よ、喝采するのです!


 今ここにニューヒロインの誕生です!


 

 ――私の名前は『匿名希望』!


 

 希望と書いて、ノゾミ無し!


 驚くなかれ、これが私の本名です。


 私の趣味はを探すこと。


 私の特技はを見つけること。


 私の生き甲斐はを流布すること。



 ええ、そうです。性格が捻じ曲がって育った私は世間から完璧な人間だともてはやされている輩の欠点を見つけ出し、堂々と指摘してやることを至上の悦びとする立派な『悪魔』へと成長を遂げたのです。




 ■ ■ ■




 さてさて、前置きが長くなりましたが、そろそろ本題へと移りましょう。



 匿名希望プレゼンツ『完璧な人間の欠点を指さして皆で大笑いしてやろうぜぇ、げっへっへ!』のコーナーです。このコーナーはタイトルの文字通り、とても心躍るハッピーでスマイルでハートフルな企画になっております。


 今回の標的は私と同じクラスに在籍するミスターパーフェクトこと『沖田総おきた すぐる』君!


 文武両道、容姿端麗、爽やかな笑顔で異性のみならず同性からも高い支持を得ているクラスの人気者といった……


 ――まあ、一言で言い表すのならば『超いけすかない野郎』です。


 さあ、あの完璧な人間にどんな欠点があるのか!?


 その欠点が衆目の目に晒されたときに彼が……ああ、そして世間がどんな反応をするのかっ!!?



 うーん、考えただけで涎が止まりませんっ!(じゅるり)




 ■ ■ ■




 ――人間の欠点。


 その隠された本性を知るには一体どうすれば宜しいのでしょうか?


 ああ、その答えは簡単です。悪意のある痛みや恐怖を衆目の場で与えてやると良いのです。その瞬間、普段は隠している醜く軽薄な人間の本性が欠点(ウィークポイント)として表へと浮かび上がってきます。


 そう、特に沖田総のようなクラスの人気者は人からの悪意に対して耐性が全くと云ってありません。ああ、おそらくは完璧人間とは程遠い滑稽な姿を晒して私たち日陰で生きる者たちを大いに楽しませてくれることでしょう!


 私は早朝、誰よりも早く登校すると沖田総の席に『画鋲』を仕掛けます。


 お尻に針がぶっ刺さって「アーーッ!」となるように椅子の座面に目立たぬようセロハンテープでしっかりと『画鋲』を張り付けるのです。


 この時に私は敢えて『画鋲』の針をグニュグニュと回すように折り曲げてから座席へと固定します。こうして予め『画鋲』にダメージを与えておくことにより、針がお尻に突き刺さった際に、お尻から針が抜きにくくなるのです。


 中学生時代に虐めの標的にされていた私の経験則上、このコンボが見事に決まるとそうれはもう大変な騒ぎとなります。「ひぎぃ、痛い、抜いて、抜いてぇー!」などと朝から卑猥ひわいな単語を連発する羽目になるのです。



 さあ、ミスターパーフェクト沖田総!



 あの世間から『イケメン』などと呼称される生物は一体どのような美しい鳴き声を聴かせてくれるのでしょうか!



 ――ああ、想像するだけで涎が止まりません。(じゅるり、じゅるり)




 ■ ■ ■




 登校の時間になって教室に次々とクラスメイトがやってきます。そろそろ沖田総も登校してくる時間です。


 私はスマートフォンを片手に毎日の日課であるFacebookに上げられている他人の訃報などの不幸記事に対して全力で『イイネ!』ボタンを押しまくる作業をするフリをしながら、カメラの録画モードを起動させます。勿論、カメラ起動の際に鳴るSEは専用のアプリで消音済みです。


 ビバ・犯罪者に優しい素敵な世界!


 誰もが認める完璧人間が転落していく愉快痛快な姿を見事このカメラに収めた暁には、その動画に小田和正おだ かずまさの『言葉にできない』を乗せてYouTubeへとアップしてやるのです。


 全国の報われない日陰者共にと云う極上の蜜の味をお届けするのがこの私――そう、『匿名希望』と命名された悪魔の使命です。


 周囲にバレないようにカメラの光度などを調整していると教室の扉が開き、朝の爽やかな風と共に「みんなおはよう!」と爽やかな朝の挨拶を口にしながら、爽やかな足取りと爽やかな笑顔で爽やかイケメン沖田総が爽やかに登校して参りました。ほーらね、爽やかもここまで爽やかにアピールされると爽やかにウザいでしょう? はい、はい、爽やか爽やか。


 そして私はクラスメイトの面々が代わる代わる挨拶を返す、その言の葉に紛れて、ありったけの魔力を込めて「イオナズン」と呟きます。


 あーあ、これでリア充共が全員爆ぜて物言わぬ血が滴る肉の塊となってくれれば大変面白く、爽やかな朝をお迎えできるのですが残念ながら私は『魔法使い』でも『賢者』でもありません。前の席に座っている髪の毛をヘアワックスでベタベタのテカテカに塗り固めたお洒落と云うモノを何か大きく履違えていらっしゃる男子生徒の蝋人形のような頭部に隠し持ったポケットライターで「ギラ」を直接ぶっ放つ程度の力しか持たないキュートな悪魔です。


 ああ……と、いうか気持ち悪いですねぇ、前の席の男子ぃ。そんなに髪を黒光りさせて――お前は新種のゴキブリか??


 眼前の火星種テラフォーマーを教室内で焼却処分して良いものかどうか迷っている私をよそに爽やか系男子、沖田総はクラスメイトに爽やかに愛想を振りまきながら爽やかに自分の席へと爽やかに歩いていきます。――おお、爽やかマジうぜぇ!


 沖田総は爽やかな笑顔を崩さぬままクラスメイトの男子と話しながら何の疑いも無く自分の席の椅子を引き、そのまま腰を下ろそうとします。



 ――はあ、ガッカリです。



 世間から『完璧な人間』などと呼ばれるからにはもう少し骨のある野郎だと思っていたのですが、これはガッカリなのですよ、ミスターパーフェクト沖田総。よもや自分の椅子に『画鋲』が仕掛けられているとは露ほども思っていないのでしょう。動きがまるで素人なのです。


 虐めを受ける側のである私からするとあの動きは緩慢以外の何ものでもありません。


 ああ、あまりに稚拙――愚か極まりないのです!


 良いですか皆さん、椅子へと座る際にその座面をしっかりとチェックすることは私たちが生きていくこの悪意に満ち満ちた腐りきった世界において基本中の基本とも呼べる行為なのです。


 ええ、寧ろそこからがと云っても良いでしょう!


 己の椅子に『画鋲』が仕掛けられていることに気づいてからどういった行動をとるか――ああ、そうです、となるのです。


 駆け出しの素人さんは目先の安息を求めて何も考えずに座面から『画鋲』を剥がしてしまいますが……ああ、それはいけません。その行為は大きな誤りと云ってよいでしょう。


 椅子などに設置された『画鋲』などの悪質な悪戯は、仕掛けた者……即ち『容疑者X』が興味を失った後、見えないところでコッソリと処理するのが正解なのです。


 椅子に腰を下ろす瞬間というのは『容疑者X』が一番興味を抱き、興奮している瞬間でもあります。そんな時に仕掛けを看破してしまったらどうなるか……



 ――ああ、答えは火を見るよりも明らかです。



 『容疑者X』を過剰に刺激し、結果、虐めの内容がどんどんとエスカレートしていくことでしょう。さて、ならばこういった日常的に起こりうるシチュエーション対してどう対処するのが一番良いのか?


 ああ、そうですねぇ。


 沖田総があまりにも低レベル過ぎてツマラナイので、今回は特別に完璧な模範解答を私がここに記して差し上げます。幼少時代より様々な虐めを受けてきたであるこの私がそういった状況に遭遇した時にどのような立ち回りをするか……



 ――ふぅむ、そうですねぇ。



 私ならば……そう、画鋲の存在には気が付いても、気が付いていない風体を装って堂々と椅子に深く腰を下ろします。



 ええ、そうですと云えるでしょう!



「ええっー!? それではキミの大事なお尻に針が刺さってしまうじゃないかい!? (ハアハア)キミは一体何を言っているんだい!? もしかしてキミはボクと一緒でマゾなのかい!? (ハアハア)」



 ……など、とM男マスオさん風にツッコミを入れたくなる気持ちは大変に良くわかります。そして私は『サザエ』や『ワカメ』、『カツオ』などといった真っ先に虐めの標的と成り得る磯臭い名前を命名付けられる業を背負ったあの呪われた家系に産まれ堕ちる憐れな海鮮物たちの気持ちも誰よりも良く理解しております。ああ、そんな私が『タラ』ちゃん風にその疑問にご回答しましょう。



 ふぁっくゆー、バカどもめ~♪


  イスにふかーく座ればダイジョーブなのDEATH~♪



 そう、虐めをする側は常に強者であり、椅子に『画鋲』などを仕掛けられたことの無い人間が殆どなのです。そして、そういったアナル針処女のリア充共は往々にして『画鋲』を仕掛ける際に外さないようにとにしっかりと『画鋲』を設置する傾向にあります。


 そう、アイツらの思考回路は単純明快で清々しい程に馬鹿なのです。


 『画鋲』を仕掛ける事に夢中でのです。



 ――ああ、百聞は一見に如かず。



 皆さん、実際に試してみれば分かることだと思いますが、椅子に深く腰を下せば、中央部分に仕掛けられた『画鋲』の針がお尻に刺さることは絶対に御座いません。安心して深く腰を下ろすと良いのです。


 そう、私のようなお尻の小さなキューティーハニーはこの回答で問題無いと云えるでしょう! ――んん?? では、お尻の大きなチャーシューヘビーはどうすれば良いかって?


 ふふり、それも問題はございません。


 何故ならばそのケースは考える必要がないからです。



 ――そう、断言しましょう!



 所謂、世間からぽっちゃり系と揶揄される雌豚デブは虐めの標的にはなりません!


 ああ、それどころか雌豚デブはクラスの家畜ペットとして可愛がられる運命にあります。特に合コンの場などでは裏で悪質な虐めをするようなカースト上位の女子たちから大人気となるのです。


「ええー、マジ雌豚かな子ってば絶対私より可愛いしぃー! ほら、男子ぃ、この雌豚かな子ってばマジで可愛いでしょwww」


 ……などといった感じでカースト上位の女子たちから持てはやされる存在となります。ああ、雌豚かな子は深い事を考えずにブヒブヒとそのまま煽てられて木に登るが如く出された食物を貪り喰らうと良いでしょう。男子たちもそんな貴女を出荷される豚を愛でるような瞳で見てくれると思います。



 ――そう、これがこの世界の理です。



 いつの時代もクラスの女子から虐めの標的にされたり、同世代の異性の男子から子供染みた嫌がらせを受けるのは決まって私のようなちょっぴりマセた美人さんだと相場が決まっているのです。


 はぁ、美人とはとても辛いです。


 こんなにも美人に産まれてしまった私……


 ああ、本当に超可哀そうです。


 悲劇のヒロインとはまさに私のような人間のことを云うのでしょう。


 小学校2年生の時、私は一度だけそんな秘めたる悩みを30代半ばを迎えた未婚女性教諭に相談したことがありました。でも、私の悩みはその女性教諭に理解してもらえませんでした。


 ただ一言「嗚呼、貴女は本当に良い性格をしているわねぇ」とのお言葉を頂戴するに終わったのです。私はその時分から自身の性格の良さをしっかりと自覚していたのでそのようなお褒め言葉を頂いても嬉しくも何ともありませんでした。



 ――ああ、しかし今ならば理解できます。



 所詮、その女性教諭は。嫁ぐ先も見つからず羊水の賞味期限が切れる寸前の存在に私のようなうら若き美人生徒が抱える苦悩を理解できるわけがなかったのです。



 ――おっと、話が少し逸れました!



 私の悲劇のヒロイン物語はこの辺りにしておきましょう。


 おお、そうです。


 ここで、もう一つ完璧な模範解答を加えて教示しておきましょう。


 椅子に深く腰を下ろすことで『画鋲』を上手に回避した後……実はここにも一つ大きなポイントが存在いたします。それは全神経を教室内に集中して椅子に『画鋲』を仕掛けた『容疑者X』を見つけ出すことです。


 ここで『容疑者X』が誰なのかが分かればその後の対策もグッと楽になります。椅子への悪戯における虐めに対してはここまで出来て100点満点と云えるでしょう。


 ああ、ちなみに私の場合は、件の女性教諭も含めてその時、教室内に存在していた人物全員から「チッ」と舌を打つ音を聞き取ることができました。


 おお、……事実は小説よりも奇なりとはまさにこの事です!


 私はその時、『オリエント急行殺人』並みの衝撃を受けました。


 ああ、本当に渡る世間は屑ばかりです。




 ■ ■ ■




 さあさあ、そして、期待のミスターパーフェクト沖田総は、と云うと……うーん、残念がながら隣の席に座る友人との会話に夢中で椅子に仕掛けられた『画鋲』に全く気が付く気配がありません。


 沖田総に話しかけている友人……確か彼の名前は『織田おだ』と云いましたか??


 ああ、そう云えば彼はいつも沖田総とおしゃべりしていますねぇ。うーん、これは怪しい。もしかして彼はホモなのでしょうか(疑惑)。


 もう『織田』という苗字からしてホモ臭い匂いがプンプンとするのです。



 はあ……それにしても沖田総っ!



 私は今、貴方に大変な失望を感じております。織田(ホモ?)との会話に気を取られ、椅子の座面の確認もしないで腰を下ろそうなど素人以外の何ものでもありません。何度も云うように椅子の座面チェックなどは虐められ初級者でも先ず当たり前にすることなのです。


 ちなみに虐められ中級者になると自分の座席に供えられたお花を愛でる事から始めます。ああ、そして、私のようなプロの虐められっ子ともなると自分の席を探す事から始めるのです。これは例えるのならば毎朝楽しい推理ゲームが体験できると云っても良いでしょう。――ふふり、どーだぁ、羨ましいだろぉ! 「どうしてもっ!」とおっしゃるのならば変わって差し上げましょう。(血の涙)


 ああ、それにしても……あまりにもレベルが低い、低すぎます!


 これではお話しにもなりません。全く『ミスターパーフェクト』など一体誰が言い始めたのでしょうか?



 ――はあ……まあ、良いでしょう。



 『完璧』を冠する貴方の名声もここまでです。



 ふふり、ちょろいもんだぜ。死ね、沖田総……


 ここだ……


 そのキレイな尻をフッ飛ばしてやる!!



 私はスナイパーライフルでターゲットを捉えるかの如く手にしたスマートフォンのカメラを自然な動作で沖田総の席へとフォーカスします。


 勿論、私の仕掛けた『画鋲』のトラップは完璧です。座席の中央からやや後部。確実にお尻へと突き刺さるであろう位置にしっかりと設置してあります。沖田総が全く気付かずに椅子へと腰を下ろす……刹那、息を飲む、その緊張の瞬間っ!




「――オイ、すぐる、危ねぇー!」




 おお、なんと……沖田総と会話をしていた織田の野郎が慌てて声を発します。まさか沖田総、当人ではなく。その友人である織田の方が先に椅子に仕掛けた『画鋲』の存在に気が付くとは――!?


 ああ、おそらく織田はずっと沖田総のいたのでしょう。間違いありません。そして彼が座ろうとする椅子に設置された『画鋲』の存在に気が付いたのです!



 ――ふふり。やはり私の見識通りでしたっ!



 ほぅらね、織田はホモじゃないか! (確信)


 ひゃっほー!


 やぱっり織田はホモじゃないかぁ! (大歓喜)


 あーははは、しかーし、残念なのでーす!


 少しばかり気が付くのが遅かったのですよ!


 織田のホモォ!



 『織田』という姓の男児は総じて『ホモ』であるといった私の超理論が確証され、少しばかり冷めていた私のテンションが一気にMAXまで上昇します。


 うへへー、口元から涎がダラダラと滴り落ちて止まりません。(じゅるるるり)


 ああ、きっと皆さんの身近にも『織田』という姓の男性がいることでしょう。間違いありません。絶対にその織田という人物はホモです! そう、これは大事な事なので繰り返して言わせて頂きます。織田と云う姓を有する男児は総じてホモなのですっ!


 そして、そのホモ織田の声に反応する沖田総……うひひっ、残念ながらもうあの体勢からでは立ち上がることは不可能! 沖田総の尻は重力に逆らえずそのまま針の上にその尻を捧げることになるのです。


 ひゃっはー、無力だなぁ、ホモ織田よぉ!


 ミスターパーフェクト沖田総のファーストアナルを奪うのはお前の『得物』ではないのです。この私の仕掛けた『得物』なのです。


 ええ、そうですっ!!


 ホモ織田はホモらしくそこで愛する男のお尻が誰が仕掛けたのかも分からない『得物』に貫かれる光景を黙って見届けて、その身に秘めた熱い寝取れNTR属性をひっそりと開花させると良いのですっ!!


 ホモ織田の突然の叫び声にクラス全員の視線が沖田総の席へと集中します。そしてその視線の中、沖田総は私が『画鋲』を仕掛けた椅子の上にその腰を降ろしました。



 ――よっし、刺さった!!



 プロの私の目から見ても明らかです。『画鋲』の針は確実にミスターパーフェクト沖田総の尻へと突き刺さりました。私が手に持つスマートフォンにはその一部始終がしっかりと動画として録画されています。



 ――さあ、奇跡のカーニバルの始まりです!



 全国ネットに慌てふためき惨めな醜態を晒すのです!




「……えっ、何? ……あれ、これは、画鋲??」




 沖田総は衆目の中、おもむろに椅子から立ち上がると座面に仕掛けられた『画鋲』を確認します。




 ――あれ? 何か……ご様子がおかしいです。




 確実に針はお尻に刺さっているはずなのに沖田総は微塵も痛がる素振りを見せません。否、寧ろ驚くほど冷静に自身に起きたことを分析し始めています。



 そして……




「あはは、これは参ったなー。これ、誰かの悪戯かな?」




 そう少し困ったように呟きながらも、ミスターパーフェクト沖田総はいつもと変わらぬ穏やかな口調と眩しいほどに爽やかな笑顔を振りまきながら私の持つカメラへ向かってニッコリとその瞳を向けたのでした。



「オイオイ、こりゃ、ひでぇな! すぐる! 尻は大丈夫なのか!?」



 ホモである織田が真っ先にお尻の純潔を心配します。


 ああ、流石はホモです。


 その一連の行動には一切のブレがありません。先ずは愛する男の尻の無事をイの一番に確認する。――これはホモがホモである所以と云えるでしょう。




「ああ、針は刺さってないから大丈夫だよ――」




 そう言いながら沖田総は制服の後ろ――その、お尻のポケットからスマートフォン端末を取り出して続けます。




「椅子に『画鋲』があっても問題ない……そう、iPhoneならね★」




 ななな、なんという事でしょう!


 信じられません!


 後ろのポケットに入っていたあのiPhoneが盾になっていたというのですか!?


 しかも、あのiPhoneはシリーズ最高傑作と名高い4Sです!


 後発されたあの悪名高いiPhone5ではありません!


 亡きジョブズが手掛けた最期の傑作4Sなのです! 




 か、完璧です。


 かかか、完璧過ぎます……沖田総っ!!




 ――ああ、無情です。


    ――ああ、酷いです。




 私は悔しさのあまりに身を震わせます。




 そう、そうなのです……




 わわわ、わ、私のっっ!!



 私の持っているはぁっっ!!



 今まで一度たりともああやって



 私のお尻を守ってはくれませんでしたぁぁっっ!!!!




 うえーん、うえーーん!




 ああ、それどころか使用しているとすぐに熱くなって手に大量の汗を掻くのです。そして汗で湿った指で画面をタッチすると反応が鈍くなって誤作動を起こすのです。それが原因で私が何度『パズドラ』や『モンスト』で苦戦を強いられた事かっっ!!



 ふんぬーーーーっっ!!!!



 私は激しい怒りの衝動に駆られるままに3階にあるこの教室の窓から校庭を歩く教頭の禿頭に向かって手に持ったのスマートフォンを全力でします。



 ――ああ、イライラします!


   ――ああ、とてもイライラします!!



 そうです。私は自分の思う通りに物事が運ばないと絶対に気が済まず、最終的には周囲の生物にそのストレスを当たり散らしてしまうといった非常に人間味があるどこか微笑ましい愛嬌を持つタイプの悪魔なのです。


 沖田総の画鋲椅子事件はその後、大きな問題もなく収束してしまいました。


 それもこれもミスターパーフェクト沖田総が爽やか笑顔で「ああ、この程度の悪戯なら僕は全然気にしないよ、怪我もなかったことだしね。いやいや、大騒ぎされちゃうと逆に僕が困っちゃうかなー」などと爽やかに謀ったせいです。



 ああ、これは爽やかに面白くありません。


 クラスはHRも終わり、一限目の数学の時間になっています。




 いつもと変わらぬ平和な授業風景。


  ――ちっ、暇ですねぇ、イライラします。


 教室の窓から差し込む日差しと心地よい風。


  ――ちっ、眩しいですねぇ、イライラします。


 頭から血を流して校庭に横たわっている教頭。


  ――ちっ、目障りですねぇ、イライラします。


 日常で役に立つ事の無い知識を語る数学教師。


  ――ちっ、子守歌ですねぇ……少しウトウトします。




 ストレスと眠気がピークに達した私はおもむろにポケットライターを取り出すとこっそりと火を灯し、その揺らめく赤色を瞳に映しながら自分に向かって落ち着くように言の葉を謳うように投げかけます。



「ザーザース、

 

   ザーザース、


     ナースタナーダー、


         ザーザース……」


  ――ふう。だいぶ落ち着きを取り戻してきました。



 朝の一件が原因で少しばかり心を乱しておりましたが……うん、これでいつもの私。今日も元気な『悪魔』です。ああ、ちなみに今自分に向かって言い聞かせた言葉は私がまだ幼い頃にママリンがよく歌ってくれた子守歌の一つです。意味は良く分かっておりません。


 私は眼前でウトウトと船を漕いでいるヘアワックスでベタベタに塗り固められた男子生徒の蝋人形のような頭頂部に自然な動作で火を灯すと、そのまま何事もなかったかのように黒板に綴られた数式をノートに書き写し始めます。




 ■ ■ ■




 私が心に落ち着きを取り戻し、数学の授業を受け始めて数分が経過したその時でした。事件が……否、歴史が動き出したのです!


 何かが焦げるような匂いが鼻に付いた瞬間、女子生徒の悲痛な叫び声が教室内に響きました。




「きゃぁああ! せ、先生! ほ、本能寺ほんのうじ君が燃えてますっ!」




 お、おお? これは一体どういうことでしょうかっ!?



 女子の声で視線を上げるとあろうことか私の前の席に座る男子生徒――本能寺の野郎が真っ赤に燃えているではありませんかっ!!?


 おいおい、マジかよ、一時限目から何いきなり壮大に炎上し始めているんだ? 常識ねーのか、意味わかんねーよ、何してんだ……ああ、こいつもしかして――キ●ガイか!?


 クラスメイトが突然発火したことにより、教室内は一瞬にしてパニックに陥ります。ホモ織田が「ヤベエ! 火消せ、火ぃ!」っと声を張り上げます。




 ――燃える本能寺ほんのうじに騒ぐ織田おだ




 ああ、字面にしてこれほど面白い事象は御座いません。



 そう、私は今まさに激動の歴史を目にしています!!



 本来ならば即座に動画を撮影するところなのですが、残念ながら私のスマートフォンは教室の窓からギャラクシーとなり果てました。不幸にもその流星を頭部に受けた教頭は未だに血をダクダクと流しながら校庭に横たわっている有様です。随分と長い間倒れていますが誰もあの亡骸を処理しません。


 うーん、本当に目障りです。


 ああ、それに目の前の席でこうも盛大に炎上されては悪魔である私もそんな悠長に撮影などをしている余裕は御座いません。なにせ何の前触れもなく巻き起こった突然の出来事なのです。これにはさすがの私も動揺を隠しきれません!


 私は速やかに席を立つとすっかりパニック状態となり、悲鳴を上げながら固まってしまっているクラスメイトたちを尻目に『左ツーステップ、右ツーステップ、左、右、左……』と『オクラホマミキサー』のステップを刻みながら誰よりも早く後方の扉から教室の外へと避難します。


 私が教室内から廊下に出るとそれまでパニック状態で固まっていた他のクラスメイトたちも私の後を追うように教室から避難しようとします……が、


 ああ、然うは問屋が卸しません!


 私は素早く後ろの手でそのまま教室の扉を閉めると悪魔の力をもって全力でその出口を塞ぎます。ふふり、こんな絶好の機会を私が絶対に逃すわけが御座いません。リア充共を一網打尽とし、全てを灰燼と化すことで、より多くの若き御魂をまとめて慈愛の神アンラ・マンユ様にご献上するボーナスタイムなのです。



 そう、これこそがあの有名な



  ―― one fire allメラゾーマ, all fire oneベギラゴン !


    one fire allファイガ, all fire oneマハラギダイン !! の精神です!



 ぐぐ、ぐぬぬぬぅ……こ、ここで負けるわけには参りませんっ!



 背後からはドンドンと激しく扉を叩く音とクラスメイトの悲鳴や怒号が聴こえます。おお、マジで怖すぎます。まるでこの光景はゾンビ映画そのものです。


 くっ、先刻まではいつもと変わらぬ平穏な日常であったはずなのに……


 ああ、なぜ……


   どうして……


 こんなことに……


  ああ、私が何をしたというのですっ!


 私は扉を背中と足でガッチリと固定すると瞳に素早く目薬めぐすりをさして一人孤独に涙をホロホロと流します。




「駄目だ、向こう側で "ヤツ" が抑えてやがる!」


「くそ、ふざけやがって! また "ヤツ" か!」


「皆、落ち着いて、前の扉から避難するんだ!」




 ――チッ、余計なことを……


   最後の声は沖田総か?


  ああ、本当にいけ好かない野郎ですっ!



 教室の前の扉が開いてそこから次々と生贄たちが外に逃げ出していきます。私は悪魔ではありますが『悪魔ゴムゴムの実』の能力者ではありません。この両腕を麦わらゴムのように伸ばすことができれば、このまま腕を伸ばして前の扉も抑え……




 「お前ら一緒に燃えてやれよっ!


    仲間だろ!!!」 (ドン!)




 と、涙ながらに叫ぶこともできたのですが……


 ああ、それはもう叶わぬ夢です。


 ……というかあの人たち私のことを "ヤツ" って呼んでましたっ!


 うえーん、うえーーん。


 同じクラスメイトの筈なのに "ヤツ" 呼ばわりはさすがに酷いのです。


 うえーん、うえーーん。


 あの屑共は親から今までどんな教育を受けてきたのでしょう。


 うえーん、うえーーん。


 酷いのです。


 うえーん、うえーーん。


 これは明らかな虐めです。


 うえーん、うえーーん。


 ああ、私は今、悪質な虐めを受けていますっ!


 うえーん、うえーーん。


 あの虫ケラ共めぇ!


 うえーん、うえーーん。


 絶対に赦しませんっ!




 ……じわりじわりと嬲り殺しにしてやります。


 


 うーん、もうこうなってしまっては後ろの扉を抑えている意味もありません。私は大人しく扉を開放すると教室から少し離れた位置に備えられている火災警報器の前までトテトテと歩いていき『強く押す』と記載されている大変に魅力的なボタンを何の迷いなくプッシュします。



 ――おっと、誤解を招かないように申しておきましょう。



 これは別に学校にいる他のご学友や教師どもの安全に気を遣った行動では御座いません。そう、他の誰かに押される前に私自身でこのボタンを押して見たかったのです。


 ああ、実は私、大変お恥ずかしながらこう見えてエレベーターやバスの降車ボタン、更にはナースコールや交差点で歩きスマホをしている馬鹿などを車道に向かって無性に押したがるといった少し子供染みたとても可愛いらしい一面を持っているのです。きゃぴ☆ミ


 私が警報ボタンを押すことによって学校全体に ジリリリリッ! と騒音が鳴り響き、他の教室からもザワザワと喧騒が聴こえてきます。




 ――ふぅ、これは気持ちいい。




 ああ、これは堪らない快感です!


 そそそ、そうですっ!


 私の教室を挟んだ反対側の廊下の端にもこれと同じものがあった筈ですっ!!


 ええ、押しましょう!


 何度でも押しましょう、そうしましょうっ♪ 




 ――……て、ああーっ!!




 何をしているです、あのバカたちはっ!!


 なんと信じられないことに私が警報ボタンを押して一人恋する乙女が如く涎をダラダラと垂らしながら悦に浸っているその間に、頭から背中にかけて紅蓮の炎を身に纏った迷惑キ●ガイ発火野郎こと本能寺のアホまでもが廊下へと飛び出してしまっているではありませんかっ!



 ああ、本当に使えない奴らです。



 せめて炎上する本能寺と ┌(┌^o^)┐オダァ だけは教室内に閉じ込めて安土桃山時代の再現をしなければならないというのに両方とも教室内から廊下へと出てしまっています。



 ああ、いけません、いけません。


 これは歴史の改変行為に当たります。



 燃え盛る本能寺までもが廊下へと飛び出してきてしまった為に今度は廊下が阿鼻叫喚。地獄絵図の様相を呈してしまっています。ワーワーキャーキャーと騒ぐことしか能のない猿人類どもの中から数学教師の「誰か、消火器、消火器を持って来い!」という声が響きます。



 ―― ピキーン ―― 消火器っ―― !!



 私の瞳の端。火災警報器の横に備えられている赤き筒状の宝具が『選バレシ悪魔ノ仔ヨ……ソウダ……我ヲ使エ!』と私の脳内に直接語りかけてきます。



「――くっ、私にその手を汚せというのかっ!」



 私は口元の涎を制服の裾で素早くふき取ると宝具を手に取り、リノリウムの床を強い意志を持って蹴り出します。


 紅蓮の炎を身に纏い暴れ回る悪しき存在とそれに群がる有象無象の人影ども――。


 私は眼前に群がる人影を宝具を振るって一人、二人と叩き散らすと、勢いをそのままに焔を振りまき暴れ狂う業火に向かってその身を投げます。


 私は手にした宝具に全身全霊の力を籠めると『ヤマト』と記されたその赤き正義の鉄槌を燃え盛る炎の化身の頭部に向けて振り下ろしたのでした。






 ――――ドゴスッ!!






 火星種テラフォーマーの頭蓋骨が陥没する甘美な感触が消火器を通して私に伝わります。


 そして、暫しの静寂がこの場を支配します。


 目の前に広がるその凄惨な光景を目の前にして誰もが声を上げようとはしません。ビクンッビクンッ、と痙攣しながら足元に転がり燃え続ける謎の火星種テラフォーマー



 さあ、それではここでクエッション!


 匿名希望プレゼンツ、ハートフルクイズのコーナーで御座います。


 Q.『上は大火事、下は血の海』、これなーんだ?


  ……ええ、そうです。


  正解は――『本能寺』です。





「ちょっとごめん、どいて、離れてっ!」




 皆が呆気に取られてただただ呆然としている中、ミスターパーフェクト沖田総が消火器を持って駆けつけます。ああ、どうやら教室の反対側の廊下に備えられている火災報知器から持ってきたのでしょう。


 沖田総は慣れた手付きで消火器の弁を抜くと足元で燃える本能寺に向けて白い粉を噴出します。すると、これは一体どういうことでしょうか、本能寺の身を焦がしていた火がドンドンと小さくなっていくではありませんか!?



 周囲のクラスメイトたちからホッと息を吐く音が聴こえます。




 ――うあああああああっっっっ!!




 ななな、なんということでしょう!


 ズルいです。卑怯なのです、沖田総っ!!!!


 こいつ最後の最後にチョロッと登場して美味しいところを全部持っていくつもりです。ここまで命を賭して頑張った私の手柄をこいつは全部横取りをしてしまおうとする魂胆なのですっ!!


 何と云う汚い男で御座いましょうか!


 ぐぬぬぬっ、こここ、この卑怯者ぉ!


 こここ、このゲスの極みめぇ!!


 例え、ベッキーが惚れようがゲスな野郎は私が許しません!


 ふんぬぅーー! この男の好きにさせてなるものかぁ!!


 私は慌てて沖田総の後を追うように見様見真似で消火器の弁を抜くとその噴出口を『こんがり美味しく焼けましたー♪』の本能寺に向けて構えます……が……




「――あっ……」




 大量の汗と口元から流れた涎で濡れていた私の手から消火器が滑るようにスルリと抜けて、地球の引力に引っ張られるように固い廊下に向けて落下していきます。


 悪魔の本能的に危機を感じた私は「ちっ、これで勝ったと思うなよ!」と沖田総へと云い放ち、そのまま体を反転させて教室内へと滑り込み、その扉をしっかりと閉じます。




 ――ふぅ、まさに間一髪といった所でした。




 私が教室の扉を閉じた瞬間――ボフン! という破裂音と共に廊下が真っ白に包まれ、クラスメイトたちの美しい悲鳴と激しく咳き込むリズム音が一時限目の終業を告げるチャイムと重なり、情緒溢れるメロディを奏でます。


 ふと教室の窓から外を見下ろすと火災警報を聞いた他のクラスの生徒たちが次々と駆け足で地面に横たわる教頭の骸を足蹴にして校庭へと避難している光景が目に入りました。



 ――ああ、良かった。



 どうやら私の影の活躍もあって大きな怪我人もおらず、被害は最小限に食い止められたようです。



 私は自分の席に戻ると机の中から『DEATH NOTE』と記された自作の黒いノートを取り出して私を "ヤツ" 呼ばわりしたクラスメイトの顔を脳裏に思い浮かべながら、そいつらの本名を満面の笑顔で書き綴ります。――削除、削除、と。



 さて、二時限目は現国です。私は前の席から先週の現国の時間に出されていた宿題のプリントを引っ張り出すと『本能寺ほんのうじ』と記されている名前の部分を『匿名希望とくな のぞみ』に書き換えて次の授業に備えるのでした。




―― Episode.1 End ――




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