第83話 変動直下


 食事が終わり各自の簡易テント眠りに就いてから暫くして、夜もふけて、トワがテントから出てる、もうひとつのテントを覗き込んでミリアが熟睡している事を確認して、ドラゴンの遺体を通り抜けドラゴンが守っていた財宝等には目もくれず歩み進む。


 壁際まで進み岩盤の前で立ち止まり岩盤に手を当てる、トワが手を当てた辺りが光だす。


「認証確認中・・・確認、部隊所属者トワ・レイブンと認証」

「扉を開放」

「扉を開放します、お帰りなさいませ」


 扉が開き中に入るトワ、これはトワが探し求めていたコンテナの1つでありレイドの予備パーツなどが積載されてあり、トワはレイド修理の為に必要だった、トワは近くコンソールを操作していき音声認識・操作する画面を開く。


「使用者権限により情報項目を閲覧」

「情報項目を表示」

「・・・消耗品、予備パーツ、換装武装、その他備品類、これで少しましになるか、コンテナ起動モード」

「了解しました、コンテナ起動」


 コンソールの操作を止めて閉じようすると、1件のメールが受信されていた事に気が付きメールフォルダを開く。


「送信者名はバグで読めないか、日時は・・・!?、この星に着いた時なのか!?」


 トワはメールに目を通す。


(人の営みが有る都、日が闇に覆われる時、都を司る者の血を連なる女に災いの兆しあり、災いは巨大なる人の手に依って)


 トワは誰が送信してきたこのメールだけが届いていることに、何かしらの作為的な意味は持っていると考え文面を読み解いていく。


 人の営みが有る都は場所を示しており、人が多くいる場所は王都だと思われる、次の文面が示している日が闇に覆われる時、これは日時で、日が闇を覆われるのは皆既日食を示している思われるがこの星に当てはまる事案が有るか確認の必要がある、更に次の文面は人物を表している、都を司る者は王でその血を連なる女となると姫君達の誰かだと思われる、最後の文面これはこの世界で幾度かの事を考えるならば巨大なる人とは、ロボットの可能性が一番高い、そしてそこにはホークが絡んでいることを。


 トワが自己解釈をした事を頭で反芻させる、そして急ぎテントに戻り眠っていたミリアを起こす。


「ミリア、ミリア起きてくれ」


「・・・何ですか、こんな時間に?」


 起きがけのミリアは焦点が合わず、放っておけば再び眠ってしまいそうだった。


「すまん、急を要する案件だ」


 謝りながらトワは、ミリアにカフェイン濃度を上げてあるタブレットをミリアの口内に放り込んだ。


「・・・ニガー、な、何ですかこれは!?」


「気付け薬だ、それよりだ、教えてくれ日中に日が暗くなる日は有るのか、そしてそれは何時だ?」


 トワは水の入ったコップをミリアに渡す、水を飲み干して落ち着いたので話を始めた。


「|火喰らい(ひぐらい)ですか、えーと、ここに来た日があの日で、はい、それなら丁度今日だったと思います」


 トワはあまりに符号が一致する事に考えを巡らせたいが、それよりも急ぎの事案を片付けなければと動き出す。


「ミリア、急ぎ王都に帰るぞ」


「しかし、ここの調査が」


「それは後日だ、説明は後だが今は王都に急ぎ帰るぞ、今王都に危機が迫っている」


「わ、分かりました」


 トワとミリアは手分けして撤収して来た道のり帰る。

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