第71話 魔都に漂う者 魔都機甲戦


*ケラーSide*


 私は漆黒の出で立ちしたトワ殿がホークと呼んだ人物が、邪神像の内部に入り込むと今まで沈黙していた邪神像が動き始め地上を目指し這い上がろうとして、天井部が落盤してくるが私は直感で助からないと感じながら前を見るとトワ殿が駆け寄ってくる、トワ殿が何かを囁くと目の前が真っ白になった次の瞬間には地下室にいたはずなのだが見知らぬ無機質な小部屋に閉じ込められていたが、とりあえずは落盤では死亡せずに済んだようだ。


 トワ殿が小部屋にある椅子に座り何かを操作をすると突然小部屋が光に満たされていく、小部屋のはずだったのだが突然窓も無かった部屋のだが外の風景が映り込んできた、先程まで地下室にいたのだがいつの間にかに地上にいる事に思考が追い付かない。


『レイドスタンバイ、パワーゲイン12%で推移』


 私は小部屋に響く少女の声を聞いて周りを見渡すが、小部屋の中には私・トワ殿・ソフィアと呼ばれた少女だが、最初はソフィアが喋ったのだと思ったのだが彼女はこの部屋に入ってから一度も喋っていなかっただから、トワ殿はこの少女の声の正体を知っているようだった。


『起動手順1から3まで完了、システムチェック・・・エラー項目算出・・・特記算出項目抽出・・・・・・緊急起動モードで処理・・・出力安定・・・稼働時間カウントダウン開始・・・・・・レイドスタンドアップ』


 少女とトワ殿がやりとりしていると、小部屋が振動を始めるがトワ殿は慌てる様子も無くその異変を受け入れていた、トワ殿と更には小さなソフィアも騒がないのに私が騒ぎ出す訳にはいかないと思っていたが、次の瞬間にはその思惑すら打ち砕ける。


「え・・・えー」


 私は声を上げて目を疑った、小部屋の窓に映る風景が物凄い勢いで動き遂には空を飛んでしまったのだ、小部屋は空を飛んでいるはずなのに衝撃や気温の変化が無く快適な状態だった。


 トワ殿が沈黙を保ったまま椅子にだった、そしてトワ殿の前に有る窓の風景が私の知っている風景が目に入ってくる外に魔都が映り込んできた、魔都の郊外にはあの地下室で見た邪神像が這い上がって来ていた魔都に映る住民達の表情は絶望に染められていたのだが、住民達の視線が此方を見ると祈りを捧げ始めたのだ。


*トワSide*


 レイドを魔都近郊に着陸させて目標と対峙するとニーナ連絡が入ってくる。


『マスター、データフォルダ内にて該当の機体を検知、アリストラ社製・型式IFー1983、機体運用通称アシュラ、コンセプトは中距離・遠距離の武装を一切排除させて、近距離武装に特質させたワンオフの機体です、記録によりますと研究が終了後アリストラ社研究所機体保管庫に凍結(Ice)されていると記録が残っています、アラモ同様にここに存在している理由は不明です、先程述べたように近距離武装が数多く搭載さていますので、レイドの近距離武装スペックを一部で有りますが凌駕している武装が有りますので近距離での戦闘は推奨しませんが、現状のレイドの状態では使用出来る武装は近距離がほとんどでありますので充分に注意してください』


 ニーナの説明を受けてホークが乗り込んだアシュラを見ると、アシュラから通信が入った、回線を開くと共にモニターにホークが映る。


『やはり隊長来ましたか』


「ホーク、もう一度聞くが、お前は何を知っていて、何を成そうとしている?」


『此方ももう一度言うが隊長、貴方が知る必要は無く、知ったことで何も出来ない、話は終わりですよ隊長を倒してレイドのパーツを頂きます』


 アシュラが距離を詰めてくるレイドは刀身型内蔵武装を展開して迎え撃ち腕部を、アシュラの腕部と接触すると激しい火花が発生する、幾度かの攻防をして距離を取る。


「ニーナ!?」


『マスター!!表記スペックに無い装備です、アシュラの腕部にはシールドコーティングが施されています』


「どうなっているんだ!?アラモにしろアシュラにしてもイレギュラーだ、シールドコーティングが搭載してあるならば正面切っての打ち合いは分が悪いぞ」


 レイドは刀身型武装をもう一つ取り出して二刀でアシュラを迎え撃つ、二度三度のアシュラとの攻防していく、機体スペックが高いレイドが打ち合いに勝ってアシュラの装甲に傷を付けていく、そしてレイドの武装がアシュラの腕をこじ開けボディ部が無防備になりトドメの一撃を打ち出す。


“ガキィーン”


 金属同士が打ち合って高音が響く


「!?」


『隊長流石ですが残念』


 レイドの攻撃を止めたアシュラの出で立ちが変わったいた、背中から四本の腕が展開されて正に阿修羅を彷彿される、その隠し腕がレイドの攻撃を阻んでいたのである。

 直ぐさまアシュラがレイドの武装を阻んでいない残り四本の腕がレイドを襲う、それと同時にレイドの視覚モニターの電源が落ちると共にピーンと音を立ててレイドとアシュラの間に筒状の物体が浮いていた、次の瞬間にはフラッシュバーンと轟音が2体の巨人を覆う

 視界モニターの電源が直ぐに入ってレイドは飛び退くがアシュラの腕がかすりレイドの装甲に傷を付けた、本来ならば直撃していた攻撃を軽微に押さえた状況判断は流石であるが。


「トワ殿」

「マスター」


 レイドに攻撃が当たった為なのかケラーとソフィアが不安そうな声を出してトワを見ていた、不安な二人気配を感じ取りに振り返りはせずそのままトワは話す。


「大丈夫、大丈夫だ」


『流石流石、やってくれますね隊長』


「冗談だろうホーク、それよりもその武装はなんだ?」


『いいでしょう、六本のシールドコーティングが施された腕部はなかなか優良ですよ、例えばこう言う使い方がね』


 アシュラが突進してくるのをレイドは避けながら攻撃を加えるようにするが、避けた方に付いている3本

腕がレイドを攻撃して来るため、レイドは回避と防御に移行して背後を取り武器を振るが残っていた隠し腕の2本がやはり攻撃を防いでくる。


『このアシュラは型落ちしていても1対1の接近戦では追従をさせませんよ』


「全く厄介だな」


 珍しくトワは感情を顕にするが深呼吸をして落ち着きを取り戻してレイドの操作に戻る。


「マスター、限定解除を提案します」


「・・・限定解除を承認」


「承認を確認しました、解除武装はウイングアロー」


 アラート音が鳴り限定解除を移行したレイドは背中に有る翼状パーツがパージされた、翼のパーツは落下する事無く宙を漂っている。


「さあ、終わりにするか」


 アシュラの六つ腕とレイドの翼がぶつかり合う

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