第64話 魔都に漂う者 襲撃
トワがウェーバーの屋敷で事情を聞いている頃、マリアの寝室で眠って近くの部屋にキティとソフィアが眠っていたが物音でソフィアが目を覚ます。
ソフィアは物音がした部屋の扉を開けると、そこには窓から入ってくる光に浮き上がる軟体魔物が窓の隙間から部屋に侵入している最中だった。
「・・・」
バンと音を立てソフィアは扉を閉めマリアの寝室に入ってマリアを揺すって起こす。
「マリー、起きてマリー」
「うーん、・・・ソフィー?・・・どうしたの?」
「向こうの部屋に軟体魔物が侵入して来てるよ」
「・・・ソフィー、ごめんなさいもう一度言ってもらえる」
「向こうの部屋に軟体魔物が侵入してるよ」
「ソフィー!?そう言う大変なことは高揚ある口調で言ってください」
マリアは寝室を出て別室で眠っているキティを起こす
「キティ、キティ起きて」
「・・・ふぁー、どうしましたマリア様?」
「いいよく聞いて、向こうの部屋に魔物がいるから逃げられる格好をして、ソフィーも急いで着替えて・・・ソフィー、トワ様は?」
「部屋に書き置きがあった少し出てくるって」
「・・・そう、トワ様がいらしゃらないのでしたら私達だけで逃げないと」
「マリア様準備が出来ました」
キティはショートパンツにへそ出しトップス、マリアはハーフパンツと薄手のトップスというラフな格好になりソフィーは水色のワンピースの上にカーディガンを羽織っている。
「行きましょうキティさん、ソフィー」
廊下に出る扉を開けようとした時、侵入した部屋の扉を軟体魔物が扉を押し倒して侵入する。
「は、早く逃げましょう」
「は、はい、マリア様」
キティが扉を開くとゴテゴテの豪華な装飾で着飾った人物が立っていた。
「だ、誰ですか貴方は‼」
「御初に御目に掛かります、ショパンと申します、夜分に申し訳ありませんですが緊急事態にてご了承下さい」
「それは解ってます」
キティは軟体魔物を指差しながら叫ぶとショパンの姿が消えたと思うといつの間にか軟体魔物を剣で串刺しにすると軟体魔物はバケツで水を溢したような状態になり動かなくなった。
「これでこいつは大丈夫です」
「何をしたんですか!?」
マリアが驚きながら問うとショパンはなんでもないように答える。
「核、人で言う心臓を破壊しました」
「ショパン様は何故ここに?」
「マリア王女に危険が迫っていると情報が入りまして急ぎ駆けつけた次第です、軟体魔物はマリア王女を狙った者達が差し向けたのでしょう、直ぐに次の刺客が放たれると思われます、この魔王城の中に邪神教の手の者が紛れているのでここに留まるのは危険です、直ちに私が知っている安全な所まで避難しましょう」
ショパンは急かすように誘導される階を数階降りると、ショパンは廊下を歩き出す静かに後を付いて行くとショパンは周囲を見渡してから壁を探ると何かしらの仕掛けが作動した、壁がどんでん返しになっていて通路続いていた、再びショパンに先導されて通路に足を踏み入れると壁には光源が埋め込まれてあり薄暗くなだらかに下り坂が広がっていた。
ショパンの先導で隠し通路を進むマリア達、緩やかな下り坂を降りきると今度は真っ直ぐ通路を突き当たり迄歩くと螺旋階段が現れた。
「階段を上がれば外に出られます」
ショパンの言葉にマリア達は一息ついた表情になり階段を登ると古井戸に似せた出口から出ると周囲は林になっており林の隙間から魔都が見えていた。
「ここまで来れば大丈夫です、林を抜ければ馬車を待機させています、さあこちらに」
魔都とは反対側に林を抜けるとショパンの言うとおりに馬車が待機していた、ショパンはマリア達の前に出て突然に剣を抜く。
「これは・・・」
ショパンが突然に抜剣したことに驚きながらもマリアがショパンに問いかける。
「どうかなされましたか?」
「馬車に待機させていた御者と護衛達の姿が見えません、私から離れないようにしてください」
密集隊形で馬車に近づくと草むらから飛び出した複数の人影が現れた。
「貴様達かそこにある馬車にいた者達を・・・」
全身黒ずくめを纏った者達が得物を抜くと刀身にはまだ新しい血が付着しているのを見せつけるように構えるのを見て、腰から玉を取り出してマリアに渡す。
ショパンは振りながら剣を一薙ぎする、黒ずくめ達が詰め寄って来たのを牽制する、黒ずくめ達が距離を取るとショパンは一歩前に出る。
「死ぬ覚悟いいか、必死に避けろ、運が良ければ楽に死ねる」
ショパンが一足飛びに黒ずくめ達に詰め寄った。
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