第49話 魔都に漂う者 3
魔都に行く当日になり、城の正門前で馬車の準備が行われている。
正門で従者達が馬車に荷を積んでいた、それを眺めていると自分の護衛対象のマリア達三姉妹が付き人を携えて出てくる。
マリアがトワに気が付くて近寄って来る。
「おはようございますトワ様、護衛を宜しくお願いします」
「任せてく・・・」
「おはようございますトワお兄様」
エリザがトワに向かって飛び込んで来た、避けるわけにもいかないのでエリザを受け止める。
「もー、エリーあぶないよ」
「おはようステラ、エリー」
「うん、おはようトワくん」
「どうしたんだエリー?」
「昨日帰って来れましたのにまた行かれるのですか」
エリザは首を振っていやいやと態度で示す、トワは片膝を突いてエリザと目線を合わせる。
「済まないなエリー」
エリザの頭を撫でて謝る。
「な、なら、帰ってきたらお話を聞かせてください」
「ああ」
「じゃあトワくん、マーニャ姉さんをよろしくね、マーニャ姉さんはしっかりしているようで何処か抜けているから気を付けて」
「す、ステラ」
「了解した」
「と、トワ様、だ、大丈夫です」
「そうか」
「トワ様、信じてませんね」
マリアが反論していると従者の女性が近寄って来た。
「マリア様、出立の準備が整いました、どうぞ馬車へ」
「分かりました、トワ様、道中長いので違うと分かって貰います」
何やらマリアは意気込みながら馬車に乗り込むそれに続いて乗り込むトワとキティ。
「ん?キティ?」
「はい?」
「何で君が乗るだい?」
「この旅でのトワ様とマリア様のお世話係に任命されました」
「そうなのか、宜しく頼むよ」
キティに手を差し出し握手を求める、キティは一瞬躊躇したが握手に答えてくれた。
「それでは行って参ります、お父様、お母様」
「うむ、気を付けて行け、トワよ、娘を頼むぞ」
「了解しました」
ベカと言葉交わす、王妃は無言で手を振っていた、王妃が喋っているところ見たことが無いが詮索はしないで置く。
「いってらしゃいませ、マーニャお姉様、トワお兄様、キティさんも」
「いってらしゃいマーニャ姉さん、トワくん」
挨拶が終わると馬車が走り出す、ステラとエリザが手を振って見送っていた、王都抜けて街道に入るそこからしばらく走ってから休憩のために立ち寄った村で休憩や補給・点検が行われている時に従者の長を捕まえて旅の日程を聞く、全行程2週間の旅で人族の領土が4日で途中の領主や貴族の家に宿泊して、魔族の領土の10日は途中の村々で宿泊して魔都を目指す様だ。
今回の旅で馬車が三台で一台はマリアが乗る王族用馬車で、他は各種荷物類が載っている荷馬車と、従者と護衛騎士の20人程が乗る人員運搬用幌馬車で、馬で追走しているのが20人いて、御者を含めて全員で約50人の大所帯になっているが、王族の移動では少ない方らしい、理由としては余りマリアが男性が苦手なのが1番の理由だった、ちなみに馬で追走してしている中にベカが言っていた調査隊が10人程入っているらしい、道中で何かしらのコンタクトが有るとベカは言っていたので、それまではマリアの護衛だけをすることにした。
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