第28話 二体の巨人

 司祭がナイフを見せつける様に立っている。


「おい貴様、このお姫様達の命が惜しいなら道を開けろ」


 何故司祭が2人を連れている?監視のサクラ等の教会騎士達や各国の兵士がわざわざ取り逃がすとは思えなかったのだが、現時点で2人が司祭の手の内にあるようだ、幸いシールドを展開したアラモは充分なエネルギー供給をディザスターに回せてない為に発射まで幾ばくかの猶予がある。


 ここは2人を司祭から奪還を優先する。


「早く退け、然もないとお姫様達が傷物になるぞ」


 2人は今にも泣きそうな顔でこちらを見ていたが、トワの姿を見ると恐怖が和らいだ。

トワはアクティブ・ディナイアル・システム非殺傷兵器(ADS)をナイフの柄から取り出して叫ぶ。


「エリー、アリーシャ、目を閉じろ」


 司祭にADSを投げながらシステムを起動させる。

司祭はナイフを振り上げた次の瞬間に何かが刺さった感覚と目の前にいた男の腕にエリザとアリアナが抱えられていた。


「もう大丈夫だ」


 エリザとアリアナは目を閉じたら急に優しく包まれたと思ったらトワの声が近くに聞こえたので目を開けるとトワに抱えられていたので驚いた。


「お兄ちゃん」

「お兄さま」


 目を開けた2人を降ろそうとしたら逆に抱きつかれた、相当怖い思いをしたのだろう、

しばらくこのままにしても良かったのだが状況が許してくれない。


 アラモの周囲に黒い粒子が漂い始めたコラプサー現象が起こっていた、急いでニーナを喚ぶ。

〔コラプサー現象とは崩壊現象の1つでエネルギー質量と周囲にある質量の対消滅で起こる現象である、名称の由来は崩壊した惑星から来ている〕


「ニーナ、オレを転位しろ」

【了解しました・・・マスターの周囲に生命反応あり、転位しても構いませんか?】


 エリザとアリアナも転位範囲内にいる事を警告する。


「エリー、アリーシャ、オレはあれを破壊しに行くから逃げろ」


「「いやぁ」」


 2人は力を込めて頑なに離そうとしない、少し悩むが時間が惜しいために2人に言う。


「いいかい、今から不思議な事が起こるけど秘密に出来るかい?」


「「はい、誰にもいいません」」


 トワは再度ニーナに指示する。


「ニーナ、今すぐ一緒に転位してくれ」

【了解しました、転位します】


 3人は光に包まれた次の瞬間に狭い空間にいたので困惑する2人を椅子の横に降ろしてトワは椅子に座って色々と操作を始める。


「システムチェック・・・エラー項目算出・・・算出項目事項を飛ばして緊急起動モードで処置、出力20%で維持・・・ニーナ、稼働時間カウントダウン開始・・・レイドスタンドアップ」


 膝撃ちの体制のレイドが立ち上り背中の推進装置が飛び立つ。

 王都は逃げ様とする人々は見えない壁により阻まれ人々は天を仰ぐ、空にアラモが発射体制に入って浮いている。

 アラモは開口部を地表に向けディザスターを発射しようとした瞬間、一線の光がアラモを貫くと光が飛来をから方向から白銀の巨人が飛翔して来た。

 人々は陽の光を浴びて光の巨人を彷彿して祈りを捧げ始める姿をトワが苦笑しているとエリザが口を開く。


「お兄さまは光の勇者様?」


 惚ける様な表情でこちらを見ているので、人差し指を口元に持っていき秘密だよと囁く。


「さあアラモ、決着を付けよう」


 地面に落ちたアラモが立ちあがりレイドも地表に降り立つち対峙する。

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