訳アリ男のお悩み解決譚

白子うに

プロローグ

当たり前の日常は、常に当たり前にある。特に誰も意識することもなく過ぎ去っていく。

だけどその日常は、いつだって、すぐに崩れ去ってしまう事を、例えば、誰かの些細な一言で一変してしまう事を忘れてはいけない。これは、誰にだって起こりうる事なのだから。


現在平成七年六月六日。恐らく日本で一番の都会の(だと俺は思っている)東京都の片隅にひっそりと佇むアパートの一室に俺は仕事用(正式にはただの一人暮らししている部屋だが)事務所を構えていて、そこの部屋で一人暮らしも兼ねている。俺の仕事は簡単に言うと、人の悩みを解決する仕事をしている。というか、今日始めた。職の名前がはっきりとはわからないのは、あまり触れないでほしい。まあとにかく全国の悩める人々を助けて、生活させてもらっているわけだ。

自己紹介が遅れたが、俺の名前は雨乃音あめのおと。年齢は十六歳。学校は行っていない、というか退学した。

別に退学をしたかったわけじゃないけど、高校一年生の時期、それもまだ一学期に問題を起こしたとなれば、穏便に過ごしたくても過ごせないだろう。穏便にすごしたいなら問題を起こすなよとツッコミを入れられそうだが、俺の性格では到底無理だった。

だって俺は、誰よりも優しくて、誰よりも最低な人間だと知っているから。

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