完結したのに、こみ上げるように形にしたくなった詩の箱

つけたし 雨に打たれ、夜は眠る


雨が降っている。それは涙のように。


ぽたぽたと、傘をさしていた僕の右肩にかかった。


雨が降っている。


君が泣いている。それは雨のように。

しとしとと、涙が流れていた。


雨が降っている。

君の左肩に雫がたまっていた。



ぼくの左、きみの右。

その間に傘が一つ。



僕は何も言えなかった。

幽霊になった気分。



どうせ今日も君は見ていない。


でも、君が一人で泣くから、傘を差したくなってしまったの。



きっとあいつと何かあったのだろう。


君はずっとそいつの近くに居て

僕にはこんなにも遠い。



君が不意に漏らした言葉、

僕にはいつも感謝よりも謝罪ばかり


聞きたいことはたくさんあるのにな。


僕は黙るだけ。

言わなきゃ伝わらないのなら。

ここでは言わないのが正解なんだろう。


雨が降っている。

僕の右肩を濡らしている。


雨が強くなる。





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