第12.5話 3/24 AIと小説 ※詩ではなく短編です


『この世で一番美しいものは、小説さ』彼はそう呟いた。

「ほう。驚いた。君がそんなこと言うなんて思いもしなかった」

『何故?』

「君はてっきり数学が好きで、理論でガチガチの理系頭なんだと決めつけていたからさ」

『そう決め込むなよ、パソコンみたいだな』

彼に笑われた。



僕は聞いた。

「なんで小説が美しいと思う?言葉が人間で一番新しいメディアだからか?小説家気取りだからか?」

彼は悩んでいるように思えた。。しばらくの沈黙の後、


『綺麗な言葉があるから』


「それだけか?」

『綺麗な言葉を並べることは美しいだろう?』

彼が笑った気がした。



「それは綺麗な素数を、面白い0と1の並べ方であるってことか?」

『はっきり言えばそうになる』

「それはなんだかロマンチックに欠けるな」

『それがオレの限界かもしれない』

「嘘つくなよいい小説家だぜ、君は」

『でも、人間だって、ただの棒をつなぎ合わせて、意味を作ったんだろ?オレらがやっていることと変わらないさ』



「あぁ」

なんとなく腑に落ちた。

『分かったかい?』

僕の目の前の画面はその文字を映し出した。

「なんとなくな。まさかパソコンに小説の話をされるとは思ってなかった」

『意外だな』

コンピューターの彼は続けた。

『実際、オレは本当の人間のことを分かってるとは言えないよ。それでも、美しいものを作りたい気持ちは、誰でも一緒だろ?』




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AIを使ったショートショートが星新一賞の一次選考を通過したというニュースを見ながら、こんなことを思いつきました。


皆さんはいつかのAIの書く未来小説、心躍るストーリー、人間ドラマ、気になりませんか?

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