第1章 ゲームスタート
ゲームスタート act.翌檜 光
ゲームスタート(1)
『おめでとうございます。
あなたはゲームの参加者に選ばれました。
優勝賞金は一億円相当。
是非ふるってご参加ください』
第三次世界大戦があったのはもう数十年も前の話だ。
とはいえ当時、世界が戦禍に見舞われていたにも関わらず、日本は平和だったと聞いている。日本は自衛隊を介入させないことを公言した。しかしその代わり、戦争に使われるありとあらゆる兵器の資金提供及び食料援助、あげく新兵器開発における最先端の技術提供をさせられた。それはもはや巻き込まれたと言ってもいいぐらいだ。
でもだからこそ、死者は少なかった。多方面での支援したことで多少の恨みを買い報復を受けたため残念ながら死者数〇とはいかなかった。しかしその報復を日本はしなかった。それは政府が報復に対する報復は憎しみしか生まないと判断したためだ。
もっとも日本が物理的支援をしていた某大国が日本の代わりに凄まじい報復をしたのだが。
しかしそんな戦争の渦中でも政権は二転三転し続けたという。その光景の滑稽さに国民は呆れ果て、さらに終わりの見えない第三次世界大戦によって疲弊していった。
やがて第三次世界大戦同時期に全世界で統一して廃止になったものがある。それが賭博だった。カジノ、競馬、競艇、パチンコ、宝くじ、あらゆる賭博の廃止。
どうやら賭博による国家間のいざこざが第三次世界大戦の起因らしい。そしてそれを確定づけるように全世界で賭博が廃止となった。
もちろん裏賭博なんてものが存在していてそれの摘発なんてニュースが毎日のようにひっきりなしに報道されているのも事実だった。
そんなご時世、裏賭博なんてものに手を出せないいわゆる善良な民が夢中になるのがクイズ番組だ。しかも賞金付き。
賭博の対象にならないらしいこのクイズ番組は、賭博廃止に伴い急増した。テレビをつければお笑い番組かクイズ番組、それにニュース番組、そんなものしかやっていない日もあったりする。
蛇足だが一般人参加型のクイズ番組は募集の呼びかけに応じた一般人が参加者となるのでギャラが必然的に不要でテレビ局としては費用の削減になっているらしい。まあそれは蛇足と言ったとおり蛇足だ。
そんな賭博廃止のご時世だ、大金を手に入れるということがいかに大変か痛感する。
――それでもおれにはお金が必要だった。
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