第2話 出会い
トゥーティさんの計らいで、馬車を率いてやってきた兵士が快く席を勧めてくれた。
「おはよう!確か名前は...そうだ、アタッカだったな。」
その兵士は快活に言った。
「おはようございます。えっと、父さんがお世話になっていました。アタッカ・フォールテです。よろしくお願いします!」
俺はいつも父さんがしていたのと同じように右手で剣を持つようにして手を口元にかざした。
「おお、勇ましさがお父さんそのままだ。おっと、紹介が遅れたな。俺はスピリトソだ。スピリトソ・アチェル。よろしくな!」
俺はその時、1年ぶりに本物の敬礼を見た。この、剣を握った手を口元にかざす敬礼には『我、この剣に命を吹き込みて戦いに身を捧ぐ』という意味があるって父さんが教えてくれたのを思い出した。
それから幾分馬車に揺られ、間もなく王城の門にさしかかる頃、この馬車の横をわりかし速く追い越す馬車があった。その窓辺には、自分とさほど変わらないような年頃の女の子が乗せられていた。彼女はどこか不安そうである。ふとアチェルさんに聞いてみた。
「アチェルさん、今通り過ぎた馬車の女の子は何故王城へ?」
するとアチェルさんの表情が曇ったように思えた。
「いや、何というか。とにかく俺の口からは言えんな。兵士団幹部と王都政府から詳しい説明が無いんだ。やたらと憶測を述べる訳にいかんからな。」
やはりさっきのアチェルさんの表情とは明らかに違う。それ以後この話はやめた。
そしてとうとう城門をくぐり、大きな広場へ出た。その中では市場が栄え、人の数も故郷とは段違いだった。
「さあ、着いたぞ!」
馬車を止めるやいなや明るい高らかな声でアチェルさんが言った。
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