第58話 サーシャについて

サーシャは夕飯の支度をするそうで、俺達も手伝う事にした。

「サーシャちゃん、下ごしらえ終わったよ。」

「はい、コレ調味料。」

「了解である。」


それにしても、

「獣人っていうのは、完全に獣みたいな姿をしてると思ったが、

人の姿に近いのもいるんだな。」

「人と獣人のハーフであるからね。」

「ハーフ?」

「そうである。おじいちゃんが言ってたである。」


「会った時からおじいちゃんの話しか聞かないけど、ご両親は?」

「山の中に捨てられてたのを、おじいちゃんに拾われたから

知らないである。」

「そうなの……」

「おじいちゃんはどんな人だったんですか?」

「ガーゴイル。」

それ石像じゃなかったか?


「ガーゴイルって門番を果たす石像の魔族でしょ?よく拾ってくれたわね。」

「おじいちゃんは変わり者だったから。仲間からも変人って言われて

頭に来て、ここに移り住んだらしいのである。」

変わり者に育てられると子供もそうなるらしい。


食事の準備も済んだので食卓に運んだ。

「「「「いただきます。」」」」

飯を食ってるサーシャを見ると、器用にスプーンやナイフを掴んで

食事をしている。


「サーシャちゃんは、どのくらい一人でいるんですか?」

「大体、2・3年である。」

「その間、どうやって暮らしてたの?」

「薬を作ってエツまで売りに行ってたである。」

そういや、薬の失敗でここに連れて来られたんだった。


「おじいちゃんの見よう見まねでやってたら、意外と上手くいったのである。」

「……薬を見よう見まねで作らないでよ。」

「でも、おじいちゃんが言ってた。

”失敗しても死ななきゃ大丈夫だ!ガッハッハ!”

って。」

「ガーゴイルってそんな人間味あったかしら?やっぱり変わり者ね。」

詐欺師に言われるとは。今頃、天国でキレてんじゃないか?


「良いおじいちゃんだったんですね。」

「うん。失敗しなきゃ今も生きてたんだけど。」

ん?

「おい、もしかして死因は……」

「調合に失敗して爆発したのである。」

間抜け過ぎる。

……コイツもそうならないように、後でスキルがないか調べておこう。


食事はサーシャの身の上話を聞きながら進んだ。

全員食べ終わって、部屋をどうするか決める。

「部屋は我が輩とおじいちゃんの使ってた2つしかないである。

おじいちゃんの部屋は二人は入れるし、リュリュは小さいから三人で

問題ないであるよ。」

「うぇ~……コイツが襲って来たらどうすんのよ?」

「良い案がある。誰かが虫かごで寝れば良い。」

「私しか無理じゃない!嫌よ!」

虫が騒いでうるさい。


「仕方ない、毛布か何かを貸せ。椅子か床で寝る。」

「勇者殿にそんな事させられませんよ!」

「……そうよ!」

詐欺師が何故か脳筋に賛成した。


「何でお前がそれに賛成するんだ?」

「何か……二人で寝る……嫌な予感が?」

食われたのがトラウマになったか。

「じゃあ、リュリュが我が輩の部屋に来る?」

「う~ん……でも……さすがに男と女が一緒ってのもねぇ。」

脳筋をチラリと見る。

「じゃあ、さっきの案でいいだろ。」

脳筋もしぶしぶ納得した。


後片付けを済ませて、毛布を受け取った後、床に寝転がる。

夜寝ていたら。

「……トイレー。」

サーシャが部屋から出てきて、トイレへ向かった。

帰ってきた後、なぜか俺をじっと見てる。

暗闇の中だと眼が赤く光ってホラーみたいだ。


その内、俺の毛布に潜り込もうとしてきた。

「おい、お前の部屋は「おじいちゃん……」」

……しょうがない、このままにしておくか。

あぁ、忘れていた。ついでに、


【結果予測】を覚えた。


【結果予測】

物を作成する際、出来上がる前に成功か失敗かを判断できます。


これでよし。

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