第14話 スキル習得

このまま王の後を追いかける気にもならず、どうしようかと思っていると

脳筋がいつの間にかそばにいた。

「勇者殿!先ほど大臣からお金と伝言を預かりました!」

伝言?

「支度金として50金貨をお渡しします。剣も先ほど選んだものをそのまま

持っていっても問題ないようにこちらで処理しておきます。王と私は

認定書の準備等で明日まで手が空きませんので城下町の散策でもいかがでしょう?

との事でした。」


いやまぁ優秀は優秀なんだろうな。

「とりあえず素質どうこうの事も知りたいし、占い師のところに行くか。

レリアとかいう奴でいいんだろ?」

「いえ、レリア殿は王国一の占い師なので、そう簡単にはお時間が取れません。

城下町でしたら通常営業している占い師がいますよ。」

「それなら早速、城下町に行くか。」



「店の扉に水晶が描かれているのが占い屋です。ここら辺だとこのお店しか

ありませんね。」

城下町に出て、脳筋も行った事がある店に案内された。

「他のお店は結構距離があるので、ここでいいですか?入りますね。」

返事は聞かずに入っていった。脳筋め。

金が足りなかったら大臣に請求すればいいか。


「こんにちは~!」

「おや久しぶりだね。」

初老の男性が店の真ん中の机でコーヒーを飲んでいた。

「少し話をさせて貰ってもいいか?」

声を掛けながらステータスを確認する。これか?


【神託】

自分・他人問わずSPを消費して通常スキルを覚えさせることができます。

また倍のSPを消費することでユニークスキルを覚えさせることが出来ます。


当たりか。だがこの【神託】自体は通常かユニークか分からんな。

「どうやって人に素質を覚えさせてるんだ?その覚えさせる内容は?」

「そうですな。まず本人にどのような素質を閃かせて欲しいか確認します。

すると頭の中に似たような素質があるか、それを覚えさせる事ができるかが

浮かんでくるのですよ。」

これだけ聞いても判断できんか。


「この脳筋もここで素質を覚えたのか?」

「ノーキン…?アリアの事ですか?えぇそうですよ。」

脳筋のスキルを確認してみる。

【剣の心得】【槍の心得】【ATKアップ】【DEFアップ】【気合】

安定と信頼の脳筋だ。

「忘れさせる事は?」

「どうでしょう?そのような事を言われた事が無いので…」

説明にも忘れさせる事ができるとは書いてないし無理か。


どうする?

あのスキルは欲しいが、そうなると自分が一回食らう必要がある。

しかし忘れるのが無理となると他に実用的なもの…

「物の価値を鑑定する素質とか覚えられるか?」

これなら損はしないだろう。


「鑑定ですか…大丈夫そうですね。今すぐ覚えますか?」

「頼む。」

そう言うと男は俺に手のひらをかざす。

頭がクリアになった感じが…


【鑑定】を覚えた。

【神託】をラーニングしました。


少し賭けだったが【神託】も覚えられて良かった。


「いかがですかな?」

「あぁ覚えられたみたいだ、いくらだ?」

「50銀貨になります。」

銀貨か、金貨しかないんだが。

「金貨ならいくらだ?」

「それでしたら1金貨いただければお釣りを用意しますよ。少しお待ちください。」

そう言って袋に銀貨を入れていく。


今更だが、ここの貨幣は小さい事に気付く。

「通常、コインのようなものだと思っていたが。」

形は四角く、一つが小指の第一関節よりも小さい


男が袋を持ってきた。

「どうぞ。ではまた何かあればお越しください。」

そのスキル覚えたからもう来る事もないんだ。

本当に悪いな。


他人の仕事を奪った事に少しだけ罪悪感を覚えて店をでる。

「さて、後は…」

城下町の散策しながら日用品を買うのと文字の確認が必須か。

そう思い適当に歩く事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る