第365話: 魔王の策略2
こ、これは⋯
急に遅い来る目眩に脱力感、確かにこれは魔力欠乏症の兆候⋯いや、それ以上かもしれない。
だけど、当初説明を受けたように魔力は減ってないな。
「さて、苦しいだろうが耳を傾けて貰うぞ」
平気な顔をしていたのは、アリオト様とクロくらいか。アリオト様は規格外だからいいが、何故クロは平気なんだ? 俺でも流石に立っているのがやっとだってのに。
そんな無言の問い掛けが伝わったのかクロが俺の頭を撫でる。
「よしよし、私は何度かこの手の訓練受けたから慣れた」
慣れたって、魔力欠乏症って、慣れるのか?
「これは魔力欠乏症に近い状態にする薬だ。この状態のまま、妾が用意したモンスターと戦ってもらう。あぁ、勿論場所も変えてもらうがな」
「ちょ、ちょっと冗談でしょ。こんな状態で戦えるわけないじゃない」
セリーヌの抗議は華麗にスルーされてしまった。
「お呼びでしょうか、魔王様」
先程までいなかった人物がこの場へと現れる。
魔王様と何かを話しているが、生憎と気分が悪いせいか聞き取れない。
「ではシリュウよ。今説明した通り、頼むぞ」
「了解しました」
シリュウが俺たちの方へと歩み寄る。
「それでは皆さま、今から集団転移にて、各々別の場所へ移動して頂きます。そこは結界の中ですので、好きに暴れてしまって構いません」
景色が暗転し、気が付けば荒野のような場所から若干草木の生えた場所へと移動していた。確かに四方を巨大な結界に囲まれている。
だが、気にすべきはそこじゃない。
目の前で大きな口を開けて威嚇してくる輩が視界に入る。
身の丈5メートルはありそうな巨大な狼が殺意を込めた眼差しでこちらを見下ろしていた。
名前:闇狼の王
レベル82
種族:狼
弱点属性:聖
スキル:
冗談じゃないぞ!
これはかなりヤバい奴だろ。万全の状態で仲間たちと一緒に討伐するようなレベルじゃないのか。
はぁ⋯。クロから魔王様はスパルタなんて聞いてたが、ここまでえげつないとは⋯
今の俺が単独で、且つ最悪な精神状態で相手に出来るのか。
名前:ユウ
レベル:120 (魔術師)
レベル54 (錬金術師)
レベル48 (モンスターテイマー)
種族:人族
職種:魔術師、錬金術師、モンスターテイマー
スキル:
称号:異世界人、竜王を討伐せし者、精霊の宿主、ダンジョンを踏破せし者
特殊効果:精霊の加護、堕魔王の加護
状態:魔力欠乏症
ノース様の特訓のおかげでレベルが8も上がっている。加えて、加護までもらったようだ。堕魔王と言うのが気にはなるけど。
にしても、さっきからあいつ襲ってこないよな。戦闘準備が整うまで待ってくれているのだろうか。なら、お言葉に甘えて準備させてもらうよ。
《
《
吐きそうなくらい気持ち悪いけど、何とか戦えそうか。
まずは小手調べだ。
《
高速で放たれた衝撃が、臨戦態勢の闇狼を襲う。
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