扇風機

 夏のひざしはすだれ越しに訪れる

 風鈴が行方不明なままの窓

 いつの間にかせみのうたも遠くなってくる


 うつらうつらまぶたの言う通りにしたら

 こんなに汗が出るってのに ああ…

 風が吹かないならせめて電機仕掛けで


 ちっちゃなちっちゃな女の子

 ぼうっと海とか眺めてる

 海月たちが楽しそうにゆらゆらしてる


 時間が止まったような昼下がり

 お昼ごはんも胃袋の中で元気そう

 さっき食べたスイカの味を思い出してみたりして


 体温計のようなこの部屋で

 何の色にも染まらないちっぽけな脳みそで

 好きな曲はいつまでもその場で空しくはしゃぐだけ


 ちっちゃなちっちゃな女の子

 賑やかだった海の風景思い出してる

 海月たち脳天気にただずうっとゆらゆらら…


 せみたちのラヴソングどうしても耳に届いて

 夢の入り口の扉がゆっくり開こうとしているよ

 今年も結局砂浜を歩かなかったなあとか

 そんな軽い後悔も五枚の羽が軽快に吹き飛ばしていった

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