A profile
Dod@
Prologue
こんにちは。「初めまして」と言うべきかしら。私は「私」。それ以上でもそれ以下でもないわ。今、とある事情で暇をしているから話し相手になってもらえる?
私はね、毎日ここにいるの。普段はほとんど彼の傍にいるし、いつどんな時でも彼が望んだら私は現れる。いつもは真っ暗闇の部屋に居て彼がその扉を開いてくれるのだけれど、もしかすると、それも今日まで。そんな予感がするの。
何故か、って?
女の勘、といったら貴方は信じてくれるかしら。でも本当よ。
私は彼のモノなの。だから、彼のことなら何でもわかる。誰かは言ったわ。
「何でもは知らないわよ、知ってることだけ」って。
何かの本に書いてあったのを講義中に少しだけ読んだことがあるわ。彼が読んでいたのを覗かせてもらったの。とても優等生な子の名台詞らしいけれど、甘いわよね。
「私は何でも知っている」
うん、こっちの方が私にはしっくりくるわ。
という訳で、と言ってもどういう訳かさっぱり解らないでしょうけれど、恐らく、今日で私と彼の物語はお仕舞いになる。
そう思うと切ないわね。でも、わかっていたから。いずれ別れの時が来ることは。勝てないもの……彼女には。絶対にね。
一方的に話してしまってゴメンなさい。何を言っているかわからないだろうけれど。
話を聞いてくれてありがとう。
今にも涙がでそう、でないけど。きっと泣くってこういう事なのかな。
何で泣きそうなのか、って?
それはね、
──忘れられたから。
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