いつかこの空の下で……

流民

~Prologue~

 古ぼけた納屋の中、少しのかび臭さと、埃の匂い。穴の開いた古ぼけた板張りの屋根からは太陽の光が漏れ零れ、納屋の中に舞う小さな埃をキラキラと照らしだしている。

そんな、納屋の中で一人の少女が乾草の上に膝を抱えながら座っている。その少女は瞳を輝かせ、じっとそれを見つめている。

そんな少女に気が付き、ふと、懐かしいような気持ちが湧きあがってきたのだろう、それは少女に語りかける。

『お嬢ちゃん、私のことがそんなに珍しいかい?』

 そう言われた少女は何も答えずにじっと、しかし心に秘めたその熱い思いを込めた、キラキラとした瞳でそれを見つめる。

『お嬢ちゃんを見ていると昔の事を思い出したよ。どうだろう、私の昔話に付き合ってくれるかいお嬢ちゃん?』

 少女は黙って見つめ続ける。

『なに、昔話と言っても、まだそれほど昔のことでもないさ。そうさな……。それでも、お嬢ちゃんが生まれる、もう少し前の話になるかな……』

 少女は話に聞き入るように、瞳を輝かしてそれを見つめる。

 そしてそれは、静かに語り出す……


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